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2013 年度 実施状況報告書

上肢のリハビリ支援を目指す二関節筋ロボットのバイラテラル・学習制御に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 25420447
研究種目

基盤研究(C)

研究機関早稲田大学

研究代表者

村尾 俊幸  早稲田大学, 理工学術院, 次席研究員(研究員講師) (00447038)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード制御工学 / バイラテラル制御 / 学習制御 / 二関節筋 / 機械力学・制御
研究概要

繰り返しリーチング作業を介した上肢のリハビリ支援を目指し,本年度は二関節筋構造を有するロボットに対する学習制御則を提案した.
はじめに,二関節筋ロボットを数学的にモデリングした.モデリングは,二関節筋ロボットのマニピュレータダイナミクスをオイラー・ラグランジュシステムとして捉えることで行った.なお二関節筋とは,人間が上肢と下肢に有している,二つの関節にまたがって動作することで両関節に同時に作用する特徴を持つ筋肉のことであり,二関節筋を考慮したロボットのモデルは通常構造のロボットとは異なるモデルとなる.つぎに,理想的な入力トルクと実際の入力トルクとの間の偏差と,角度および速度偏差に基づいたある出力との間に受動性が成立するようなロボットの入力トルクを提案した.提案した入力トルクは過去の試行を学習し,理論的に収束性を保証するものとなっている.最後に,MATLABとSimulinkを用いたシミュレーション検証を行うことで,提案する学習制御則の有効性を示した.
本提案は,これまで個別に考えられてきた二関節筋ロボットの構造と,通常構造のロボットに対する学習制御を統合させることで,各モータの出力を抑えられかつ人間の腕の出力特性と同じ特性をロボットに持たせられる制御手法となっている.したがって,ロボットに直に接する患者の安全面をより考慮した制御手法として捉えることができる.本手法をより発展させることで,患者が一人で行う繰り返しリーチング作業療法を行えるシステムの構築へつながることが期待できる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では二関節筋構造を有するロボットのバイラテラル制御と学習制御に取り組んでいる.当初の計画では,今年度と来年度でロボットのバイラテラル制御を行い,また再来年度に学習制御を行う予定であったが,順番を入れ替えて今年度は学習制御を行った.それに伴い,来年度以降にバイラテラル制御を行っていく.また,今年度に一台分の二関節筋ロボットの部品を購入する予定であったが,来年度にまとめて二台分の部品を購入することとした.以上の変更はあったが,おおむね順調に研究は進展していると捉えられる.

今後の研究の推進方策

今後は主に二関節筋構造を有するロボットのバイラテラル制御の研究に取り組む.
はじめに,二関節筋ロボットの遠隔操作システムを数学的にモデリングする.モデリングは,二関節筋ロボットのマニピュレータダイナミクスをオイラー・ラグランジュシステムとして捉えることで遠隔操作システムを導出する.
つぎに,問題設定を行い,制御系を設計する.ロボットのバイラテラル制御は一般的に通信時間遅れを有する環境下での制御となる.本研究の二関節筋ロボットのバイラテラル制御においても時間遅れを陽に考慮した問題設定を行う.また,制御系設計においては,モデル誤差の影響を抑える工夫が必要となる.したがって,不確かさを外乱として捉え,それらが存在する場合でも望ましい追従特性を達成するロバストな制御則の設計問題を考える.制御則はモデリングした遠隔操作システムを受動システムとさせたことを上手く利用することで提案する.その際には,システムの機構透明性を強く意識する.
提案する制御則を検討するために計算用ソフトウェアを用いて,シミュレータを作成しシミュレーション検証を行った後,最後に二関節筋ロボットを用いた検証実験を行う.二台の二関節筋ロボットを共に早稲田大学に置き,マスターロボットに対するスレーブロボットの追従実験を最初は行う.二台の二関節筋ロボットは一台の制御装置を用いて動かされるが,陽に時間遅れが生じるように工夫する.マスタースレーブ間の追従性能の確認に加え,力の伝達性能等を評価・検討する.満足する実験結果が得られた後で,実験機を一台金沢工業大学へ運び,早稲田大学と金沢工業大学の間で遠隔操作実験による評価を行う.インターネットで接続された両大学間のロボットに対して両ロボットの追従性能と機構透明性を測る. なお,一台の二関節筋ロボットを作成した段階で今年度の成果である学習制御に対する実験検証も並行して行っていく.

次年度の研究費の使用計画

本研究では二台分の二関節筋ロボットの部品を購入する予定である.
今年度に一台分の二関節筋ロボットの部品を購入する予定であったが,来年度にまとめて二台分の部品を購入することとした.
来年度に繰り越した予算は,今年度に購入する予定であった二関節筋ロボットの部品を購入することで使用する.

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Visual Motion Observer-Based Bilateral Control for Eye-in-Hand Mobile Robot Teleoperation

    • 著者名/発表者名
      T. Murao, H. Kawai, Y. Tsuruo and M. Fujita
    • 学会等名
      2013 IEEE Multi-conference on Systems and Control
    • 発表場所
      Hyderabad, India
  • [学会発表] 二関節筋ロボットアームのオープンループ制御

    • 著者名/発表者名
      一条祐輔, 河合宏之, 村尾俊幸, 鈴木亮一
    • 学会等名
      第14回 SICE システムインテグレーション部門 講演会
    • 発表場所
      神戸

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公開日: 2015-05-28  

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