研究課題
本研究では、制御系設計などに利用しやすい構造を持つニューラルネットワークモデルを構築し、そのパラメータを推定するための体系的な学習法の確立を目指す。具体的に、回帰または分類のための利用しやすい線形構造を有する準線形サポートベクターマシン(SVM)の構築およびそのオンライン学習法の開発を行い、スイッチングが適応制御法や高性能分類器の開発等への応用研究を行っている。本年度では、① 準線形カーネルの合成技術に関しては、非線形分類問題の特性を考慮した機械学習法によりカーネル自動合成技術の開発を行う。複雑な入力空間に適用できる幾何的な手法で局所的線形情報を抽出する技術を開発し、それによるカーネル自動合成技術を開発した。さらに、深層学習によるデータに依存するカーネル自動合成法を検討した。これにより、準線形SVMに基づいた分類器は画像識別問題に直接適用できるようになる。② 準線形SVMの構築と学習技術に関しては、RBFネットワーク、ウェブレットネットワーク、ニューロファジイネットワークを補間基底関数とする場合の多次元入力空間の自動分割技術を開発する。特に、リャプノフ安定性理論に基づいた準線形モデルの学習法、および自己組織化による準線形モデルの構築技術を開発した。③ 準線形SVMの応用技術に関しては、準線形SVMから線形予測器と非線形予測を同時に構築し、安定性と高い制御精度を同時に実現するスイッチング制御を行う。リャプノフ安定性理論に基づいたスイッチング機構の構築を行った。
2: おおむね順調に進展している
本研究の目的を実現するために、機械学習による準線形カーネルの合成を行う準線形SVMの構築、学習技術と利用しやすい構造を有する準線形SVMの構築技術、準線形SVMに基づいたスイッチング制御技術および高性能分類技術を開発し、非線形ダイナミカルシステムの適応制御および遺伝子やタンパク質などの応用を行う予定している。本年度では、①幾何的な手法で抽出した局所的線形情報によるカーネル自動合成技術を確立した。さらに、深層学習によるデータに依存するカーネル自動合成法を検討した。②リャプノフ安定性理論に基づいた学習法および自己組織化による準線形モデルの構築技術を開発した。③リャプノフ安定性理論に基づいた準線形SVMによるスイッチング適応制御を行った。
次年度は最終年度で、これまで開発した準線形SVMシステムの応用展開の研究を中心にして、時系列予測や制御系設計、パタウン認識など応用技術を開発する。さらに、準線形SVMの構成と応用に関する成果を取りまとめ、成果の発表を行う① 時系列予測への応用に関しては、雑音が多くでランダムに近い為替レートや株価指数などの予測システムを 構築する。具体的に、準線形SVMを適用し、複数個SVMをベースにした階層型SVMネットワークの知的構成技術と 高次元な入力ではなく出力をベースにした領域の自動分割の技術を開発する。② パターン認識への応用に関しては、準線形SVMを用いたバイオインフォマティクスにおける配列データの解析・分類および蛋白質構造や遺伝子機能の予測技術を開発する。具体的に、準線形SVMの局所的線形性を利用したクラス間のデータアンバランスの修正技術、準線形SVMをビッグデータへの適用するための技術などを開発する。
国外旅費が予定より少し少なかったため
来年度海外旅費として使う予定している。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件)
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