研究課題/領域番号 |
25420454
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 福井工業大学 |
研究代表者 |
金江 春植 福井工業大学, 工学部, 教授 (90274555)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | モデリング / パラメータ推定 / 呼吸システム / 人工呼吸 / エラスタンス / P-V曲線 / モニタリング |
研究概要 |
患者の呼吸モデルのパラメータは人工呼吸の換気条件の設定において重要な根拠となり,特に肺エラスタンスは気道気圧上限値の決定に重要な役割を果たす.モデルの簡便さのため多くの場合は肺エラスタンスのヒステリシスを無視してきたが,実際呼気と吸気時に肺のエラスタンスは異なり,静的P-V曲線においてヒステリシスが存在している.本研究では,呼吸の静的P-V曲線の本来の姿を数理的にとらえ,そのモデル手法を構築するものであり,ファジィロジックの非線形関数近似能力及び自然言語表現能力に着目し,ファジィエラスタンスモデルを提案し,そのモデルの推定法を開発した. まず,異なる未知パラメータセットを持つ関数型SIRMs(Single Input Rule Modules)ファジィエラスタンスモデルを仮定し,呼気と吸気の呼吸測定データを別々に用いてパラメータを計算し,それぞれのエラスタンスを推定し,呼気と吸気の推定P-V曲線を合わせてヒステリシスを表現する手法を提案している.また,ファジィルール後件部関数表現形式のモデル推定精度への影響を調査し,後件部の関数系が1次あるいは2次が望ましいことを明らかにした.ファジィモデルにおいてはファジィ変数のメンバシップ関数を決定しなければいけないが,その手法として自然界の群知能を模倣したアントコロニー最適化法を導入してファジィ変数の初期設定から最適設定を見つける手法を提案した.さらに,ファジィメンバシップ関数が変わるとファジィ後件部推定の適用データ範囲が変化することから,肺エラスタンスとファジィメンバシップ関数の交互繰り返し最適化によるパラメータ推定法を検討し,有用な知見を得ている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の研究において,肺エラスタンスのヒステリシス表現可能なファジィモデルとパラメータ推定法を開発し,その有用性を臨床実験データに基づくMATLAB数値実験の検証を行い,交付申請書に記載の研究計画通り研究を進めている.
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今後の研究の推進方策 |
今までの研究を踏まえ,今後は臨床の実環境を念頭に,測定データのオンライン前処理,呼吸周期の再現不完全性への対処法,病状の変化にも対応する適応型オンラインパラメータ推定法を開発し,同時に,非線形性を持つ呼吸システムの時間特性の表現方法とその特徴の抽出法を課題として研究を進め,新しい方法論とその検証を行いたい.
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次年度の研究費の使用計画 |
本年の購入予定であったA/D変換ボードと端子台に,一時的に代用可能なものがあったので購入を見合わせたためである. 次年度では代用のものが使えなくるため,新出製品等を精査の上,MATLABのハードウェアサーポートなど勘案して,今年度に購入予定である.
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