研究課題/領域番号 |
25420463
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
溝渕 利明 法政大学, デザイン工学部, 教授 (60339504)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 電磁波 / 塩分量推定 / 表面粗度 / 温度・湿度 / 導電率 / 誘電率 |
研究実績の概要 |
平成26年度は,前年度に引き続きコンクリートの表層品質を考慮した鉄筋位置での塩化物イオン量の推定手法の検討を,実構造物を対象に実施した。調査対象は,平成25年度に実施個所に加えて,50年以上経過した建て替え前の構造物についての調査も行った。 実構造物調査では,コンクリート表面粗度の影響の大きいことが前年度までの調査で明らかとなったことから,コンクリートの表面粗度を変化させた供試体を作製し,コンクリートの表面粗度の影響についての室内実験を行った。 電磁波による塩化物イオン量の推定評価手法としては,マクスウェルの波動方程式から導かれる減衰方程式を基に,上述した反射波形の減衰に影響すると考えられる要因を影響係数として,塩化物イオン量の変化に直接影響すると考えられる導電率との関係式を導き出し,実構造物での塩化物イオン量の分析結果と比較検討を行った。 今年度は,電磁波による塩分量推定に関して,表面粗度の影響のほかにコンクリート温度,湿度,セメントの種類についての検討も行った。さらに,電磁波による塩化物イオン量の推定において,誘電率が異なる材料が介在した場合,受信波形が大きく変化することが予想されるため,どのような影響を及ぼすか検討するために,アスファルトとあらかじめ塩化物を混入したコンクリート及びエポキシなどの表面保護材を塗布した模擬供試体を作製し,それらの影響について検討を行った。さらに,含水状態を変化させた場合及び塩水をコンクリート表面から浸透させた場合の受信波形の変化についても検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定していた調査個所に加えて,50年以上経過した構造物からもコアを採取することができた。それらの塩化物イオン量,ポロシメータによる細孔径分布の測定,電子顕微鏡による観察を実施した。さらに,電磁波による塩分量推定に影響を与えるコンクリートの表面粗度について,室内実験を実施するとともに,その他の影響要因である温度・湿度,セメント種の影響についても室内実験を実施した。一方,当初計画であったアスファルトや表面保護材の影響についても室内実験を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は,平成25年度及び平成26年度に引き続き,コンクリートの表層品質を考慮した鉄筋位置での塩化物イオン量の推定手法の検討を,実構造物を対象に実施するものとする。また,表層部の変状を材料・配合条件,施工条件,環境条件,経過年数などを考慮した塩化物イオン量の分布の変化を推定するための拡散式を提案し,これまでに得られている測定データを用いて検証していくものとする。さらに,当研究室で保有している3Dスキャナを用いて,コンクリートの表面粗度の定量評価に向けた検討も行うものとする。
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