最終年度に実施した研究の成果 H26年度までにコンクリートの溶解に適していると判断したギ酸および塩酸を混合した混合酸溶液にてコンクリートの溶解実験を試みた。モルタル片を用いた場合、濃度15%の混合溶液(ギ酸:塩酸=8:2)において、溶解開始から90分後で溶解率81%を達成できた。弱酸や強酸の単体溶液を用いた場合よりも速い速度で溶解できた。さらに、対象をコンクリートにした場合、溶解期間3日でJIS規格のH相当品の再生粗・細骨材を回収することができた。また、混合溶液を蒸留しギ酸の回収を試みた結果、回収液の成分分析からギ酸が回収できたことを確認した。 研究期間全体を通じて実施した研究の成果 H25年度においては、ギ酸水溶液(濃度15、20%)、塩酸水溶液(濃度10%)を用いてコンクリートを溶解した結果、JIS規格のH相当品の再生粗骨材を、L相当品の再生細骨材を回収することができた。H26年度においては、溶解開始3日まででかなりの部分の溶解が進み(密度、吸水率の回復が著しい)、その後は徐々に溶解が進行することが分かった。溶解開始5日でH相当品の再生骨材を回収できた。さらに、適切な溶解方法(溶液の撹拌等)を設定すれば、さらなる溶解期間の短縮が狙えることが分かった。H27年度では、ギ酸と塩酸の混合溶液を用いた場合、再生粗骨材では溶解3日で絶乾密度2.57,吸水率2.16となり、JIS規格のH相当品を得ることができた。再生細骨材の場合も溶解3日で絶乾密度2.52,吸水率3.10が得られ、H相当品となった。 以上より、混合溶液を使用することで、JIS規格のH相当品を得るための溶解期間をさらに短縮することができた。現状では溶解期間3日で十分なJIS規格のH相当品を得られることが分かった。この結果は、短期間でコンクリートをリサイクルするシステムを構築できる可能性を示唆しており、大きな意義がある。
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