研究課題/領域番号 |
25420468
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
東山 浩士 近畿大学, 理工学部, 准教授 (60319754)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 環境対応型碍子モルタル / 高炉スラグ微粉末 / 強度特性 / 塩分浸透抑制効果 / 塩化物イオン拡散係数 / 細孔径分布 |
研究実績の概要 |
電力や鉄道関連から廃棄されている絶縁材料である碍子の建設材料への有効利用と環境対応型碍子モルタルの開発を目的に,環境対応型碍子モルタルの強度特性と塩分浸透抵抗性に関する研究を実施した.環境対応型碍子モルタルは,セメントの一部を高炉スラグ微粉末で置換(0%,20%,40%)したものである. 強度特性に関する試験では,水セメント比を40%,50%,60%の3水準とした環境対応型碍子モルタルの圧縮強度,割裂引張強度およびヤング係数に関するデータを収集し,それぞれの強度特性について,養生期間7日,28日,91日における圧縮強度との関係を同定した. 次に,環境対応型碍子モルタルを濃度5%のNaCl溶液に48週間浸漬した後のモルタル中の塩化物イオンの浸透深さをEPMAにより精緻に分析した.EPMA結果から,見かけの塩化物イオン拡散係数を算出し,高炉スラグ微粉末置換による塩分浸透抑制効果を比較し,その効果の高いことを明らかにした. さらに,EPMA試験体から取り出したモルタルのペースト中の細孔径分布を水銀圧入法により得た.水セメント比が小さいほど細孔量は低下した.また,高炉スラグ微粉末の置換量が20%と40%の間で細孔径分布の形状が大きくことなり,高炉スラグ微粉末の置換量が多いほど細孔径の小さい領域が増大することが分かった.そこで,見かけの塩化物イオン拡散係数と細孔径分布に大きな相違が生じる細孔径0.007~0.2(micro-m)における平均細孔径との関係を調べた結果,指数関係を有しており,環境対応型碍子モルタルの塩分浸透抑制効果,すなわち見かけの塩化物イオン拡散係数はペースト中の細孔径分布から評価できる可能性を示唆した. 平成27年度には96週間浸漬した後の試験体についてEPMAによる塩分浸透を調査する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,当初の計画通り,環境対応型碍子モルタルの強度特性を把握することができた.また,濃度5%のNaCl溶液に48週間浸漬した環境対応型碍子モルタルの塩分浸透をEPMAにより定量分析し,高炉微粉末置換による塩分浸透抑制効果を比較することができた. よって,達成度としては,研究が順調に進展していると評価している.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は96週間浸漬した後の試験体についてEPMAによる塩分浸透を分析することにより,塩化物イオンの浸透深さや拡散係数を評価する.これにより,浸漬期間の経過年による環境対応型碍子モルタルの塩分浸透抑制効果を比較することができる. これらのデータを基に,環境対応型碍子モルタルの実用化と製品化に向けた進展が期待される.ゆえに,当初の計画通りに今後の研究を推進していくこととする.
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備考 |
研究成果を取りまとめ次第,ホームページに公開していく予定である.
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