研究課題
シリコーンゴムガイシなど,有機電気絶縁材料の劣化診断技術の一つとして,撥水性の観測による表面物性診断手法がある.撥水性は多くのパラメータで変化するため,材料手法や劣化診断などへの活用には,各種の検討が必要とされている.この撥水性の発現に影響するパラメータを変化させ,その撥水状態の変化量を観測することによって,正確な劣化診断指標を得ることが可能となる.シリコーンゴムの表面状態およびコンクリート表面撥水層の状態を,撥水性診断により非破壊評価する手法について検討した.水酸化アルミニウムの含有量が異なるシリコーンゴムの水滴体積増減法による接触角の測定を行ったところ,室温では接触角の大きさの差により撥水性の差が確認できるが,低い測定温度ではその差が大きくなり,温度による撥水性の低下をより認識できた.撥水層を形成したコンクリート供試体の接触角から,その撥水層の厚さ評価では,撥水層が厚いほど接触角は大きくなり,経過時間によるその低下も緩やかであった.接触角による撥水性の時間的変化から撥水層厚さを非破壊で評価可能であることを示した.撥水性は多くのパラメータでその発現状態が変化する.表面温度や表面粗さ,材料の吸水状態や測定の経過時間などが,撥水性評価の代表的な指標の接触角に大きな変化をもたらすことがある.しかしながら,これらのパラメータを意識的に変化させた場合の撥水状態評価指標の変化を観測すれば,より正確な材料評価や劣化診断を非破壊で実施可能である.接触角のみならず,スプレー法や誘電計測なども併用することで,より正確な劣化診断を行える可能性があることを示した.
すべて 2016
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電気学会論文誌A(基礎・材料・共通部門誌) IEEJ Transactions on Fundamentals and Materials
巻: Vol.136 No.9 ページ: pp.580-585
10.1541/ieejfms.136.580