研究課題/領域番号 |
25420474
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山川 優樹 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80324010)
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研究分担者 |
田村 洋 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10636434)
池田 清宏 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50168126)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 送電鉄塔 / 損傷機構 / 地盤変状 |
研究概要 |
本研究では送電施設の安全性向上技術に貢献することを趣旨とし,地盤変状に起因する鉄塔の損傷機構の解明を目的とする.特に,地盤変状や基礎不同変位を想定した下での鉄塔の耐荷・変形性能を評価することと,基礎による鉄塔脚部の支持剛性を忠実に考慮するため地盤-基礎-鉄塔構造の全体系解析を行うことに重点を置く. 本研究では3箇年の研究期間で,(1) 鉄塔周辺の地盤変状や基礎不同変位の高精度予測評価,(2) 既存鉄塔に対する地盤変状や基礎不同変位の発生下での耐荷・変形性能評価,(3) 基礎不同変位の計測に基づく鉄塔の健全性判定指針の体系化,(4) 損傷形態に応じた効率的な修繕方法の体系化と修繕方法決定指針の確立に取り組み,災害後の迅速な電力供給の復旧に資するための健全性判定指針と修繕方法決定指針を確立することを最終目標とする. 研究期間の初年度にあたり,上記(1)の準備段階として,今年度は最初に地震等における地盤変状や基礎不同変位の発生形態を明らかにするため,被害事例の調査・分析と地盤変形の数値解析による予測評価を行い,典型的な発生が想定される基礎不同変位の形態を抽出した.特に鉄塔の損傷形態,基礎不同変位や周辺地盤変状の発生状況に着目した.さらに,上記(1)への本格的取り組みの準備として,地盤変状と鉄塔損傷を評価するための数値解析プラットフォームの整備に着手している. 次に,上記(2)に関して,典型的な基礎不同変位の発生時における鉄塔の耐荷力低下挙動と損傷形態について解析を行った.これまでの予備研究により,部材損傷が目視検知できない程度の基礎不同変位でも,鉄塔の全体耐荷力を低下させることが示唆されていたが,今年度の研究により実在鉄塔の耐荷力低下挙動を定量的に明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」に上述した通り,平成25年度に予定していた研究項目(1),(2)ともに年度当初の研究実施計画に挙げていた内容をおおむね達成しており,研究計画全体としてもおおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は,初年度に整備した解析ツールを活用し,鉄塔の損傷機構を解明する.また,部材交換など修繕を模擬した解析により,修繕による回復性能を定量評価する予定である.まず,既存鉄塔に対する地盤変状や基礎不同変位の発生下での損傷挙動評価に取り組む.既存鉄塔に対して基礎不同変位が発生した状況での耐荷・変形性能評価を基礎-地盤-鉄塔全体系解析により行う.これまでの研究により,基礎変位の進行に伴う耐荷力の急激な低下や部材損傷の進展を確認しているが,前年度の検討結果を踏まえ,多様な形態の基礎変位に対して評価を行い,基礎変位が部材損傷や耐荷力低下にどういった影響を与えるかを調べ,関連性の抽出を試みる.その際,現行の基礎変位の許容目安や部材損傷の判定目安も参照する.本研究では,一般に設置されている標準鉄塔・基礎の忠実な解析モデルと電線張力・季節別風荷重等を考慮した現行設計荷重を用い,既存鉄塔の安全性評価に即した検討を行う.評価結果を体系化し,基礎不同変位の計測結果を参照した鉄塔の健全性判定指針の確立を目標とする.
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度はとくに物品費について,当初見込んでいた所要額よりもかなり小さい使用額で全く支障なく研究を遂行することが出来たため,これを次年度使用額とすることとした. 次年度以降は,今年度と比べて解析規模・ケース数ともに格段に増大することが見込まれている.そのため,データストレージ機器の購入のための物品費,解析データ処理などの研究補助謝金のための人件費・謝金として使用する計画である.
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