平成26年度までの研究で,積層ゴム支承の復元力特性を比較的精度良く再現でき,かつ数値計算に利用しやすいモデルの開発を行ってきた.特に,本研究では,水平1方向モデルに加え,水平2方向モデルも提案し,かつ動的解析に必要なアルゴリズムも提示している.
平成27年度は,提案したモデルの精度について検討した.まず,既往の積層ゴム支承の実験結果を用いて本モデルの精度について検討したが,実験条件(温度等)が1方向載荷での結果と2方向載荷での結果で一致しているものが少なく十分な検討ができなかった. そこで,構築したモデルの精度を検証するためのデータ収集を目的として,積層ゴム支承の3軸載荷実験するための載荷装置の設計と実験準備を行った.具体的には,小型の積層ゴム支承を対象として動的載荷可能な3軸載荷試験装置を設計し,製作してその基本性能について確認した.本装置は,3つの独立した電動モーターを利用した3軸載荷試験装置であり,従来の油圧式の試験機よりも,高精度かつ高速度で載荷を行うことが可能である.また,本試験装置に対応した試験片固定のための冶具の設計も併せて行った.
現在は,開発した試験装置を用いて大変形領域までの載荷を実施するための小型の積層ゴム支承を設計・製作しており,でき次第,動的載荷試験を行いデータを収集する予定である.
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