研究課題/領域番号 |
25420488
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
下里 哲弘 琉球大学, 工学部, 准教授 (90452961)
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研究分担者 |
有住 康則 琉球大学, 工学部, 教授 (90109306)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 腐食 / 高力ボルト / 軸力 / コア抜き実験 / すべり耐力実験 / 摩擦接合継手 |
研究概要 |
本年度は、先ず,腐食減肉した高力ボルトの残存軸力評価の検討を行った.過酷な塩害環境下において28年間暴露された実橋より採取した摩擦接合継手型の実腐食高力ボルトの試験体を作製し,残存軸力の測定を行った.高力ボルトの残存軸力測定法として,コア抜き法を用いたひずみゲージ法を適用した.またFEM解析を行い,ボルト頭部とナット部の腐食減肉量とその腐食減肉形状が残存軸力に及ぼす影響の検討を行った.実験及び解析結果より,以下のことが得られた. 1、解析結果より,座金から4つ目までの範囲のネジ山において,ボルト軸部とナット部の軸力のほとんどは伝達されることを明らかにした.また,ボルト頭部においても,座金近傍のエッジ部でほとんどの力が伝達されることを示した.よって,腐食減肉形状を考慮して残存軸力を評価するためには,座金からの高さが8mm (ネジ山4つ分程度) までの範囲の平均減肉量(座金近傍減肉量)を用いる評価手法を提案した. 2、ナット部及びボルト頭部の座金近傍減肉量の総和より,腐食減肉が生じた高力ボルトの残存軸力を評価することは可能である.また,腐食減肉形状の影響を考慮した残存軸力割合評価手法を提案した. 3、腐食高力ボルト継手状態での引張試験によりすべり耐力を求め、母材と添接板の接合面に対して,粗さ計測を行い,すべり係数を推測し,その両方の結果より軸力を推定した.その結果,残存軸力は設計軸力より大きめに算出されたため,今後、すべり耐力実験法およびすべり係数の産出について継続して実験を行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、実腐食した高力ボルトに対して詳細に計測した腐食減肉形状および減肉量データと、ひずみゲージコア抜き実験で得られる残存軸力との相関分析を行い,腐食減肉形状を考慮した残存軸力評価法を提案した.また,腐食高力ボルト継手状態での引張試験により得られるすべり耐力から残存軸力を求め、腐食減肉形状および減肉量データとの相関分析を行っており,今後,継手としての残存軸力および残存耐荷力を実験的に解明し,安全かつ実用的な残存軸力の定量評価法の構築を目指す.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は,腐食高力ボルトの残存軸力の定量評価法の構築を目的として、実腐食高力ボルトを用いて計測された腐食減肉形状および減肉量データと、ひずみゲージコア抜き実験で得られる残存軸力データを相関分析した。また、高力ボルト継手状態での引張すべり耐力実験から残存軸力の検討を行った.今後は,腐食劣化した高力ボルトの安全かつ実用的な残存軸力定量評価法を構築するために,残存軸力並びに残存耐荷力に影響を及ぼすと考えられる腐食ボルト単体の機械的性質を明らかにするためにボルトの軸方向引張試験,硬さ試験を行う.また,腐食高力ボルト継手の残存耐荷力実験を継続実施し,継手としての残存耐荷力を評価する.
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次年度の研究費の使用計画 |
備品費のうち、消耗品残額である。 残額22,146円は次年度の備品費に充てる。
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