研究課題/領域番号 |
25420489
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
有住 康則 琉球大学, 工学部, 教授 (90109306)
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研究分担者 |
下里 哲弘 琉球大学, 工学部, 准教授 (90452961)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 鋼橋 / 腐食損傷 / せん断耐荷力 / 残存耐荷力 / 機能回復 |
研究実績の概要 |
本研究では、水平補剛材上部腹板や下フランジ接合部腹板下部に腐食破断損傷を模擬した中型せん断供試体を製作し,その供試体に補修・補強を施し、せん断耐荷力実験を行い、腐食により破断損傷を受けた鋼プレートガーダー腹板の補修・補強による機能回復方法について基本的な検討を行った. 1. せん断耐荷力実験に用いた供試体は,腹板の上下にフランジをすみ肉溶接したI形断面桁の中央に500mmの間隔で垂直補剛材を配置し,垂直補剛材と上フランジの4辺で囲まれた腹板(板厚4.5mm)が腐食破断着目パネルとした.載荷実験では、供試体の両側に載荷桁を高力ボルト接合し,2点載荷・2点支持することにより着目パネルにせん断力を与えた. 2. 補修材料として、①腐食耐久性、②補修の容易性、③施工性の要求性能を満たす補修材として、本研究では薄鋼板(板厚:2.3mm)・高強度炭素繊維(CFと称する)を選定した。なお、薄鋼板は、メッキとナイロン紛体塗装で腐食耐久性を満たすものとした。 3. 下フランジ接合部腹板下部に腐食破断損傷を模擬した供試体では、薄鋼板及び腹板面にポリウレアを塗布した補修モデルが、健全相当までせん断耐荷力及びせん断座屈強度の回復が見られ、ダクティリティを有していた。 4. 水平補剛材上部腹板に腐食破断損傷を模擬した供試体では、CFを腹板全面に接着した試験体では、上部欠損試験体と比較してせん断耐荷力が170%回復したが、最大せん断力に到達した直後に補修材の剥離により、せん断耐荷力が急激に低下した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、水平補剛材上部腹板や下フランジ接合部腹板下部に腐食破断損傷を模擬した中型せん断供試体を製作し,その供試体に補修・補強を施し、せん断耐荷力実験を行い、腐食により破断損傷を受けた鋼プレートガーダー腹板の補修・補強による機能回復方法について基本的な検討を行った.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、これまでの実腐食した鋼桁の腹板の板厚実測結果から得られた腐食パタン、実腐食減厚量、亀裂損傷位置をパラメータとし、それらを種々変化させて耐荷力解析を行い、これらの結果より実腐食減厚分布,腐食断面欠損及び腐食損傷タイプが鋼桁腹板の耐荷力特性に及ぼす影響について検討し,鋼桁腹板の崩壊メカニズムを解明する。次に、実腐食した不陸を有する腐食損傷モデル実験供試体を制作し、その供試体に補修・補強を施し、せん断耐荷力実験を行い、実腐食鋼プレートガーダー腹板の補修・補強による機能回復方法について基本的な検討を行う.最後に、これまでの実験結果及び解析結果に基づいて、実腐食鋼プレートガーダー腹板の補修・補強によるせん断耐荷力の機能回復方法の評価・提案を目指す。 最後に、これまでの研究結果を総括し、報告書の作成を行う。
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