研究課題/領域番号 |
25420492
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
本田 秀行 金沢工業大学, 環境・建築学部, 教授 (00110990)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 近代木橋 / 要因分析 / 残存強度 / 構造性能 / 耐用年数 |
研究概要 |
平成25年度は、近代木橋の架設および修繕工事実績に関する各要因別のデータを収集して近代木橋の構造と架設実態と修繕工事内容を定量的に分析した。さらに、経年による近代木橋の劣化個所や構造性能変化の実態把握に基づく残存強度を評価して耐用年数の推定のための各要因とその項目や点数などの方策を検討した。 ①錦帯橋(山口県)、愛逢橋(佐賀県)、宇治橋(三重県)、鼎小橋(愛知県)、常盤橋(福岡県)の目視検査や維持管理調査を実施した。その結果、木材の腐朽や劣化個所の特定分類、および経年による腐朽部の劣化が橋全体の構造剛性や強度低下に及ぼす影響が検討された。 ②架設後17年が経過している愛逢橋(ボールジョイント型木製曲弦上路トラス橋:佐賀県)の健全度調査と動的実験を行った。目視検査、打音試験、超音波伝播速度試験、含水率測定試験の結果とし致命的な損傷は認められなかった。しかし、床板はかなり健全であるが、木製トラス部材で経年による木材の腐朽や劣化が部分的に見られた。また、動的実験で得られた「愛逢橋」の固有振動数に対して、構造解析から逆推定の手法で把握すると、完成直後から17年間の経過によって、木材のヤング係数は30%程度低下していることが確認された。また、経年による振動使用性の実態も実験から検証した。 ③近代木橋の耐用年数に影響を及ぼすと考えられる各要因とその要因を細分化した各項目の抽出を検討した。さらに、各項目に対する重み係数(点数付)を算定し、その点数が妥当であるか否かを既存の16近代木橋に対する架設実態から検証した。 ④991木橋データから72近代木橋を対象に耐用年数の計算とその要因分析を行なった。その結果、近代木橋の耐用年数は上記③で記述した耐久性に関係のある要因や項目が大きく影響を及ぼすことを明らかにした。次年度では耐用年数の具体的な推定式を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
経年による近代木橋の劣化個所や構造性能変化の実態把握に基づく残存強度を評価して耐用年数の推定のための各要因とその項目や点数などの方策を検討した。また、近代木歩道橋に対する健全度調査と動的実験、および逆推定法による構造解析から17年間の経過によって木材のヤング係数は30%程度低下していることが確認された。さらに、近代木橋の耐用年数に影響を及ぼすと考えられる各要因とその要因を細分化した各項目の抽出、および各項目に対する重み係数(点数付)を算定し、その点数が妥当であるか否かを既存の16近代木橋に対する架設実態から検証した。その結果、近代木橋の耐用年数は耐久性に関係のある要因や項目が大きく影響を及ぼすことが明らかになり、次年度では具体的な耐用年数の推定式を検討できる状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
先ず、平成25年度の研究目的で収集した基礎データや分析内容を整理・精査する。そして、それらの成果を平成26年度の研究目的で実施する研究内容に統合化する。それらの結果に基づいて、本研究課題である近代木橋の耐用年数に対する統計処理による要因分析と具体的な推定式の開発を検討する。
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