地質学的な不連続面の破壊は、地震や斜面崩壊などの深刻な被害をもたらしうる現象に直接関わっているものとされているが、不連続面の動力学的な性質そのものについては未解明点が多く存在する。本研究課題では、不連続面の力学的不安定化の発生メカニズムの究明及び影響の定量的評価に関する研究代表者自身の理論・実験研究を継続して発展させ、不連続面破壊の動力学に関係するさまざまな現象の発生機構を考察し、かつ、それらの現象による構造物や都市の被災の危険性を評価することを目的としている。研究最終年度である平成27年度は、本プロジェクトで整備した動的破壊実験装置と数値解析システムを組み合わせた、統合的な破壊実験・解析を推進し、縦ずれ断層破壊時に生じると理論的に予想されていた、一旦地表面近くに到達した破壊が地中に向かって逆戻りする現象をはじめて実験的に示した。研究成果に関しては、Engineering Failure Analysis誌のほか、EGU (European Geosciences Union) General Assembly(オーストリア・ウィーン)や2015 Seismological Society of Japan Fall Meeting(神戸)、AGU (American Geophysical Union) Fall Meeting(米国・サンフランシスコ)等の影響力の大きな国際会議などにおいて逐次最も新しいものを発表している。なお、研究代表者の一連の研究成果に対して、平成28年2月24日に日本学術振興会賞が授与されている。
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