研究課題
本研究では、盛土および護岸(矢板式岸壁)を対象に、数値解析による表面波伝搬のシミュレーションおよび表面波の実測を行い、地盤物性の変化を表面波により把握できることの検証と、形状が不整形であることの影響評価法を検討した。まず、地下水の流動等により細かい粒子が流出した場合,地盤条件にもよるが,15%程度のせん断波速度の低下が生じることがあり,これを検出できれば,地盤の健全度を診断できると考えられることがわかった。さらには、含水比の変化により,10~40%程度のせん断波速度の変化が生じることが確認できた。盛土等において排水機能が低下して含水比が増加した部位は脆弱部と判断できることから、この結果に基づくと表面波探査で得られたせん断波速度の分布から、盛土等の脆弱部の検出が可能であることが確認できた。次に、広島市内の護岸(矢板式岸壁)において、潮汐の変化に合わせて表面波探査の実測を行った。この結果、潮汐変化による地下水位変動に整合するように、地盤内のせん断波速度が変化することを確認できた。また、数値解析により、海底面と地表面の標高の違いによる段差が表面波探査で計測されるせん断波速度分布に及ぼす影響は小さいことがわかった。また、実測では、表面波探査により評価したせん断波速度分布とスウェーデン式サウンディング試験結果から推定したせん断波速度分布がおおむね一致した。さらに、盛土に並行な測線と盛土に直交する測線での結果を比較した。この結果、測線の変化によって、深度にもよるが,最大で50 %近く,せん断波速度を過大評価していることがわかった。同様の傾向は,数値解析結果でも確認された。この解析結果を用いることで、測線の方向が異なった場合の解析結果の解釈や補正が可能となる。
すべて 2015
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物理探査
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