研究課題
本研究では豊浦標準砂にセシウム(Cs)またはストロンチウム(Sr)を添加し,汚染土壌に見立てて実験を行った.吸着材として粒径の異なるスメクタイト,ゼオライト,ハイドロキシアパタイト(HAp)を使用した.3種の吸着材では,通電時間が長いほど,より高い吸着効果があり,48時間通電の場合,3種の吸着材の平均残存率が約9%となった.つまり除去率は約90%であり,非常に高い吸着効果が出ていることがわかる.また,粒径比較試験では,24時間以前の通電結果では,ゼオライト,スメクタイトについては,粒径の細かい方が砂中に残存するCs量が少なくなり,HApについては,差がほとんどなかった.また,48時間以前では,吸着材によって吸着量は大きく異なった.特に,粉末ゼオライトについては24時間通電の時点でCsの除去率は86%と高い吸着能を示した.Srに対する吸着試験の吸着材としては,ゼオライト,HApを用いた.これは,スメクタイトは水を吸収して膨潤する性質を持ち,減容化を目的としている本実験では適当でないと判断したからである.また,Csにおける吸着試験より,通電時間は48時間程度を要すると判断されることから,Srに対する実験では,48時間の通電試験のみを実施した.試験後のSrの残存量については,粒径が小さいほど砂中のSrの残存量は少なく,これらの吸着材の範囲では,粉末ゼオライトが最も吸着能が高くなった.以上の吸着材より,HApを主体とする放射性物質の吸着シートを製作した.吸着シートは,通常は,絨毯ロールのようにロール状にて保管し,除染対象地盤においては,それを広げて設置し,除染後は,再びロール状に巻き取って回収することが可能なシート状の材料である.HApを織布と不織布で挟むように加工し,そのシート部の厚さは0.5cm程度で,これに放射性物質を吸着できれば,廃棄物の大幅な減容が可能となる.
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International Journal of GEOMATE International Journal of GEOMATE
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