研究課題/領域番号 |
25420509
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
並河 努 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (50455151)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 地盤工学 / セメント改良土 / 引張破壊 |
研究実績の概要 |
本研究では、セメント改良土の引張挙動を三軸引張試験等により明らかにし、設計における引張破壊基準に対する合理的な考え方を確立することが目的である。本年度は、セメント改良土の一軸引張試験と曲げ試験を実施した。 一軸引張試験では、セメント改良砂とセメント改良粘土を用いて気中及び水中条件で試験を実施した。これは、昨年度実施した三軸引張試験において、一軸引張試験と低拘束圧下での三軸引張試験の結果に大きな違いがあり、その違いが一軸引張試験においてサクションが作用しているためと推定したためである。気中及び水中条件での一軸引張試験結果より、気中条件での一軸引張強度は、水中条件の一軸引張強度に比較して、50kPa~100kPa大きくなることが明らかとなった。このことより、通常実施される気中環境での一軸引張試験では、サクションの影響により引張強度が過大に評価されることが明らかとなった。また、この結果を考慮して、昨年度実施した三軸引張及び三軸圧縮試験結果を整理し直したところ、セメント改良土の破壊は、引張破壊とせん断破壊の2つの基準を設けることで表現できることが明らかとなった。 曲げ試験では、セメント改良砂とセメント改良粘土を用いて試験を実施し、試験結果より引張ピーク応力後の軟化関係の表現に必要な破壊エネルギーの評価を行った。また、2種類の供試体サイズで試験を行い、供試体サイズが破壊エネルギーに与える影響を調べた。試験結果より得られた破壊エネルギーは強度と概ね比例関係にあることが明らかとなった。また、供試体サイズにより破壊エネルギーが異なる結果が得られたが、これは従来の破壊エネルギーの算定方法に問題がある可能性があることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
応募時の計画では、三軸試験を実施する予定であったが、気中及び水中条件での一軸引張試験と曲げ試験を実施した。気中及び水中条件での一軸引張試験は、昨年度実施した三軸試験結果を解釈する上で必要不可欠であった。また、曲げ試験はセメント改良土の破壊挙動をモデル化する上で必要不可欠である。なお、本年度実施予定であった三軸試験は平成25年度に実施しており、研究目的達成に必要な結果は得られている。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に従い、平成25年度、平成26年度に実施した試験結果にもとづき、セメント改良土の破壊基準を設定し、その破壊基準にもとづく弾塑性モデルをFEM解析ソフトに組み込む。また、これまで得られた成果を取りまとめ、国内外のジャーナル及び国際国内会議において論文発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
応募計画では、研究発表、外国旅費に60万円計画していた。本研究課題に関する発表を国内外で行ったが、科研費と異なる予算を使用した。
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次年度使用額の使用計画 |
本研究課題の発表を6月に実施される国際会議(サンフランシスコ)で発表する。その、参加費、旅費に使用する。 また、本研究課題で使用するFEMソフトの年間保守費用及び解析に用いるパソコンの購入費に使用する。
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