今年度の主な研究成果は,既に実施したピエゾドライブコーンを用いた地盤調査について,その成果をまとめて論文投稿し,国際会議(ICGE-Colombo-2015)で口頭発表した.具体的には,東日本大震災を受けた埋立地盤の硬さ(N値)および細粒分含有率について,従来よりも高分解な深度方向分布を示し,土層内に透水性が低い層が散在することを示した.これにより,比較的均一な堆積構造を持つと考えられている埋立地盤において,地震後の間隙の再配分過程において,低透水層の直下で間隙水がトラップされる可能性があることがわかった.加えて表層に透水性が低い非液状化層を有する飽和砂地盤を模擬した模型振動台実験を実施して,液状化後の間隙の再配分時の過剰間隙水圧の等時曲線(アイソクロン)を求めた.表層の非液状化層で間隙水がトラップされることにより,非液状化層直下の過剰間隙水圧は液状化直後よりも上昇し,その上昇量は非液状化層の変位拘束条件の影響を受けることがわかった. 研究期間を通して得られた上記以外の成果をまとめて示す.液状化後の間隙の再配分過程において,体積膨張および体積収縮が発生する箇所について,その境界条件を制御した室内要素試験を実施した.具体的には,地盤内の応力状態を再現できる中空ねじりせん断試験装置を用い,さらに,供試体の体積膨張・収縮を精度良く制御できる間隙水流量制御装置を接続して部分排水繰返しせん断試験を実施した.体積ひずみ・せん断ひずみ速度比を実験パラメータとして変化させて与えて,体積変化の速度が液状化強度に及ぼす影響を詳細に調べた.その結果,体積膨張による液状化強度低下率,体積収縮による液状化強度増加率を定量的に評価した.この成果は大地震の余震の際の地盤の液状化強度の評価および排水系の液状化対策工法の合理的な設計手法の構築に役立つものと期待される.
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