研究課題
本研究は、土構造物の強靭化を目的として構造と材料の両面からアプローチした。構造面では、土構造物の経済的な耐震補強方法の検討として、高い靭性を有する土質材料を用いて土構造物表面を部分的に改良することによって、全体系の耐震性と耐侵食性を向上させる低コストな土構造物補強技術を確立することである。構造面のアプローチとして、盛土の部分補強に関する基本モデルを設定し、振動台模型実験により基礎的な動的特性と破壊形態を検討した。前年度の剛性を高めた部分補強材料を用いた実験ケースに続き、柔軟性を有し引張抵抗力を有する袋状材料を用いた補強形態を検討した。その結果、変形追随性がある柔軟性のある補強材の有利性が確認された。この実験結果を震度法安定解析ならびに動的応答解析で再現し、盛土の応力状態を精査した結果、柔軟性のある表層補強材により盛土表面のクラック発生を抑制する効果があることが確認された。土質系靭性材料の開発においては、低利用資源の積極的活用と環境配慮型技術に配慮して以下の各種材料および利用法の可能性を検討した。1)再生石膏固化材について、現場における含水比評価方法を明らかにした。また、細粒土の造粒材として適する可能性を確認できた。2)繊維補強固化処理土の面状改良体としての利用に関し、曲げ変形時のひずみ分布を画像解析技術により可視化する手法を開発した。SEM撮影画像による微視構造解析結果から繊維材料の疎水性と親水性の相違が検出できる目安を得た。3)低利用かつ自然由来の竹繊維を用いた繊維補強土について砂質土~礫質土における適用限界を確認した。東日本大震災の津波堆積土について、木くず混入量がせん断強度特性に与える影響を評価した。4)再生プラスチックを用いた地山補強土工法の受圧板の柔軟性が支圧特性に与える影響を評価した。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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