研究課題
Xバンドレーダにより河口周辺の地形を継続観測した結果を分析し,出水と波浪の作用に伴う河口砂州の浸食パターンと規模を説明した:a) 河口砂州の浸食パターンと過程を明らかにした.河口砂州の浸食は,出水によるものが大半を占めているが,波浪の作用により進行する場合も見られた,b) 河口砂州の浸食規模と出水規模の関係を調べた.浸食の程度は出水前の河口幅に依存し,また,浸食パターンとの関連を議論し,河口砂州がフラッシュする条件を河口幅別に議論し得ることを示した. c) 観測期間中,河口砂州の存在位置は海側から河道内に断続的に変位していた.河道内への変位が継続する間,河口砂州の面積自体は漸増していたが,海側では浸食が生じていた.漁船測深システムを構築した.研究期間中,新たに12隻の小型漁船に対してデータロガーを設置し,取得できる地形データの拡大を図った.うち2隻は,天竜川河口より約1km上流の船溜まりを拠点とする遊漁船であり,河道の縦断面,河川-海域の水深データを測量することが可能となった.測深システムは,複数隻の漁船で運用され欠測リスクは分散され,高頻度河口域地形のモニタリングが実現した.取得した地形データを用いて,波浪・河川出水とともに整理し,長期および短期間の時間スケールにおける河口テラスの地形変化と,その外力の関係の解明を試みた.長期的にはテラス頂部に大規模な侵食域が生じており,その土砂量は2008年からの5年間に80万立米であった.この侵食傾向は,天竜川からの土砂供給が少ない状況が継続しているためであることが推察された.短期的なテラスの変化については,先端の斜面部の岸沖方向の移動に着目して解析をおこなった.波浪や出水に対して,テラス斜面の移動方向を決める地形変化外力のしきい値については解明が困難であったが,主として波浪エネルギーに比例して岸沖方向に移動することが明らかになった.
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件)
The Proceedings of the Coastal Sediments 2015
巻: CD-ROM ページ: CD-ROM
10.1142/9789814689977 0160
Procedia Engineering, IIT Madras, India
巻: 116 ページ: 1050-1056