研究課題/領域番号 |
25420519
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
児島 利治 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 准教授 (90346057)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 林内水収支 / 樹冠疎密度の季節変動 / 高解像度植生分類図 |
研究概要 |
研究計画1:樹冠遮断現象の現地観測と解析 継続観測を実施している岐阜県高山市の大八賀川流域に加え,岐阜市内の安食谷川(30ha)において新たな観測サイト(スギ林,樹冠疎密度73%)を設置し,樹冠による降雨遮断現象の現地観測を開始した.平成25年11月~平成26年1月までの観測結果を解析したところ,樹冠による降雨遮断率は約18%であった.継続観測を実施している高山市のスギ林は樹冠の閉塞度を示す樹冠疎密度は59%,観測された遮断率は27%であり,安食谷川サイトは,樹冠疎密度に対して高山サイトより遮断率が低い林分であった.ただし解析したデータの観測期間は蒸発量が少ない冬季であり,林分による降雨遮断の相違のより詳細な解析には,今後の継続観測が必要である.また同じく岐阜県高山市の落葉広葉樹林において樹冠通過雨量の観測を継続して実施している. 研究計画2:衛星リモートセンシングデータによる植生情報の解析 大八賀川流域を対象とし,航空機Lidarより推定した樹冠疎密度(LDCD;Lidar Derived Crown Density)とMODISデータより得られた植生の活性度を示すNDVIを比較し,衛星データより樹冠遮断現象に関係する樹冠疎密度分布の季節変動を抽出した.航空機Lidarのレーザー反射位置が林床上か林冠上かを周囲の標高により判別し,1kmの樹冠疎密度分布データを得た.これを真値として同時期に撮影されたMODIS NDVI値と比較したところ,LDCD = 0.78NDVI+0.1の式を得た.また多時期の高分解能衛星画像と航空機Lidarより得られた樹高データ(DCHM;Digital Crown Height Model)を用いた詳細な植生分類図を作成した.分類精度は総合精度で87.8%であった.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)研究開始時より高山市の広葉樹,針葉樹観測サイトにおいて降雨遮断現象の観測を継続し,また新たに岐阜市安食谷川の針葉樹林に観測サイトを設置し,降雨遮断現象の観測を開始し,針葉樹サイトにおいては順調に遮断現象の観測,解析を実施している.一方で広葉樹林への雨量計増設については,長期の観測に耐えるため,雨量計設置台の改良を行ったため,雨量計設置に適した夏季をはずしたため,本年度は改良設置台を作成したのみで現地への雨量計設置は行わず,従来設置の雨量計のみで観測を行った. 2)分布型樹冠遮断モデルに使用する分布データとして,樹冠疎密度の季節変動データ,及び高解像度植生分布図を作成した.特に多用な最新データを複合的に利用したことにより,植生分布図の分類精度は従前よりも若干向上し,植生タイプごとの遮断モデルの開発を目指す本研究での分布型遮断モデルへの適用性が向上した.
|
今後の研究の推進方策 |
平成26年度は主に以下の項目について研究を推進する. 1)広葉樹観測サイトへの雨量計の増設を行う. 2)MODISより作成された1㎞と粗い解像度の樹冠疎密度の季節変動データと高解像度植生分布データを合成により,高解像度樹冠疎密度データの生成を行う. 3)前述の高解像度樹冠疎密度データと高解像度気象データ(気圧,気温,風速,湿度)を利用した分布型遮断モデルの改良を行う.
|
次年度の研究費の使用計画 |
広葉樹サイトへの雨量計増設について,本年度は雨量計設置台の改良及び作成を行った.雨量計は夏季の設置が望ましく,設置台作成が遅れたため,雨量計の設置は次年度に行う事として,設置費用を繰り越しした. 雨量計設置に関する経費として使用する.
|