研究課題/領域番号 |
25420519
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
児島 利治 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 准教授 (90346057)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 林内水収支 / 樹冠疎密度の季節変動 / 高解像度植生分類図 |
研究実績の概要 |
1.樹冠遮断現象の現地観測と解析 岐阜市安食谷川(30ha)における観測サイトでの現地観測を継続して実施した.高山市の落葉広葉樹サイト,常緑針葉樹サイトでは,これまで継続観測を実施していた簡易型雨量計(Devis社, 0.2mm精度)を廃止し,新たに気象庁検定と同形の雨量計(クリマテック社, 0.5mm精度)を設置し,樹冠遮断現象の観測を開始するとともに,これまでの観測データの解析を行った.簡易型雨量計は降雨を受ける漏斗の口が狭く閉塞しやすいため,データ欠損が多いという欠点があったが,新しい雨量計ではデータ欠損は多少改善した.しかしながら平成26年度の豪雪により特に常緑針葉樹林サイトに設置した雨量計に大きな被害を受けた.雨量計の復旧については今年度検討を行うが,今年度の研究はこれまで蓄積された観測データを用いて研究を進めることとする. 2.遮断モデルの改良と植生タイプ別モデルパラメタの同定 落葉広葉樹林と常緑針葉樹林の2つの植生タイプ別のモデルパラメタの同定を行った.常緑針葉樹林に対しては,推定誤差も少なく良好な推定モデルを構築することができた.一方,落葉広葉樹林に対しては,短時間の集中豪雨が発生した際に推定誤差の発生が顕著という結果が得られた.集中豪雨時には針葉樹林においても推定誤差が発生する傾向があったが,落葉広葉樹では得に顕著であった.常緑樹では葉の量の季節変動は無く,葉の量のパラメタ値の不確実性は他のモデルパラメタにより調節できていたが,葉量の季節変動がある落葉広葉樹では,葉量のパラメタの不確実性を他のモデルパラメタでうまく調整できていないと思われる.最終年度もこの点を考慮して落葉広葉樹のモデルパラメタの調整を行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.長期観測へ対応するために高山市の広葉樹林,針葉樹林サイトに新規に雨量計の増設を行った.残念ながら平成26年度冬季の豪雪による倒木により,主に針葉樹林サイトの新規雨量計に被害が生じたが,広葉樹林サイトでは概ね順調に観測が実施されている.本研究課題での解析には,研究代表者がこれまで蓄積した観測データを用いるため,課題達成には大きな影響は無いと考える. 2.植生の季節変動を考慮した遮断モデルのモデルパラメタの同定を行ない,概ね良好な結果を得た.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は以下の項目について研究を推進する. 1) 落葉広葉樹林に対する遮断モデルのパラメタの改良 2) 各植生タイプ別遮断モデルを用いた分布型遮断モデルの構築と精度検証 また,今後の観測継続を念頭に置き,予算と時間の許す限り高山市の針葉樹林サイトの雨量計の改修を実施する.
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