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2013 年度 実施状況報告書

水面波を伴う開水路流れにおける界面ガス交換プロセスの解明と実用モデルの提案

研究課題

研究課題/領域番号 25420521
研究種目

基盤研究(C)

研究機関京都大学

研究代表者

山上 路生  京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80362458)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード界面流速発散 / ガス輸送現象 / 水面波 / 開水路の乱流
研究概要

酸素や二酸化炭素ガスは河川流れの自由水面を通じて大気/水層間を活発に交換しており,それらを適切に予測および評価することは,ローカルな水域生態系の形成からグローバルな地球温暖化プロセスまで幅広いスケールをもつ環境諸問題の解決において急務である.最近の計測機器や計算手法の技術進展とともにその詳細が学術的に明らかにされつつあるが,自然界の実フィールドは複雑な諸条件をもつため,ガス輸送速度の実用的な評価法は十分に確立されていない.特に風や重力に誘起される水面波は,自由水面近傍の乱流生成を促進するためガス輸送に大きな影響を与えるが,その物理機構においては不明な部分が多く実務への応用は停滞している.そこで本研究では学術と実務の乖離を可能な限り埋めるべく,水面変動を考慮した新しいガス交換モデルを構築し,実験水路における乱流計測と野外計測を行ってその信頼性を鋭意検証することを目的としてスタートした.
H25年度はマルチカメシステムの構成の前段階として,桟粗度開水路乱流を対象にした界面発散値の計測と解析を主に実施した.ステレオ解析以前にシンプルな2D解析によって界面発散値の水理特性を深く検討することは極めて重要である.さらにガス交換を支配する乱流エネルギー散逸率の評価法について従来のスペクトル方式ではなく,時空間データから定義に基づく厳密な評価手法を提案した.
特に本年度ではこれらの実験結果から,水面の界面発散が底面粗度と密接な関係があり,乱流の最小スケールであるコルモゴロフスケールによってこの関係を底面状況に依存しない普遍的な形でモデル化することに成功した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在までに、底面にマクロ粗度を有する水理条件についてガス輸送速度を計測済であり,これらの結果から水面発散値によるガス輸送速度の拡張モデルを開発に取り組んでいる.
特に粗度流の水面発散値の実験結果と物理モデリングについては,2014年9月に開催予定の国際会議Riverflow2014でその成果を発表する.8ページのフルペーパ査読をパスしている.なお,コルモゴロフスケールによる発散値の新しい評価式を開発したが,その成果を土木学会論文集に今夏までに投稿予定である.
また同時に、京都大学桂キャンパスの乱流水理実験室において,マルチビジョンPIVシステムの開発に着手しており,水面変動を有する開水路乱流の実験環境を整備する段階にある.水面変動場にも適用できる拡張SDモデルの理論的導出についても既往研究の調査を含めて検討中である.
このように当初の予定に従って順調に研究が進展している次第である.

今後の研究の推進方策

実河川のような比較的大きなスケール場にも適用が可能である点が本研究で開発する新しいガス輸送モデルの利点である.実際の水域場は風や底面粗度により水面変動が無視できない場合が多い.
このような複雑な水理条件下における水面発散値を計測し,評価することが本年度以降の目標になる.具体的には複数台の高速度カメラによるマルチビジョンPIVシステムを構成し,水面変動を考慮した3次元的な流速計測を実施する.これにより高い実用性をもつSDモデルの開発へ研究発展させ,未解明課題を鋭意研究する.

次年度の研究費の使用計画

当初予定していた計測システムに改良の余地が生じ、システム構築を次年度まで持ち越したためである。システムの基本設計を見直し、ハードおよびソフト面の両面から慎重に見直して次年度では計測システムを完成させる。
3D計測システムに必要な、信号制御デバイスや、特注トラバース装置の物品購入費に使用する。具体的にはマルチビジョンPIVシステムを開発して,水面変動を有する開水路乱流の実験環境を整備する.同時に水面変動場にも適用できる拡張SDモデルの理論的導出にも着手する.実河川のような比較的大きなスケール場にも適用が可能である点が本システムの利点の一つである.申請者は2年前に2台のカメラを同期させたステレオPIVシステムをソフト面も含めて自作した経験があり,また、室内計測だけでなく実河川でのフィールドへの応用も重要視しており、次年度は頻繁に実河川の流況調査を実施し、野外計測の準備を行う。これに関する機材費や交通費にあてる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 開水路における長方形ワンド内の循環流構造に関する基礎的研究2014

    • 著者名/発表者名
      山上路生・池内三津喜・金子泰洸ポール・戸田圭一
    • 雑誌名

      土木学会論文集B1

      巻: 70 ページ: 1-10

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Secondary current properties generated by wind-induced water waves in experimental conditions2014

    • 著者名/発表者名
      Sanjou, M. and Nezu, I.
    • 雑誌名

      Advances in Oceanography and Limnology

      巻: 1 ページ: 1-10

    • DOI

      10.1080/19475721.2013.870604.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 開水路サイドキャビティ領域における堆積高が乱流構造に与える影響2014

    • 著者名/発表者名
      山上路生・金子泰洸ポール・崎谷健太・藤本雄大・戸田圭一
    • 雑誌名

      水工学論文集

      巻: 58 ページ: 865-870

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Experimental study on surface velocity divergence and interfacial gas transfer in open-channel flows2013

    • 著者名/発表者名
      Sanjou, M. and Nezu, I.
    • 雑誌名

      J. of JSCE

      巻: 1 ページ: I_82-89

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Hydrodynamic characteristics and related mass transfer properties in open-channel flows within a rectangular shaped embayment zone2013

    • 著者名/発表者名
      Sanjou, M. and Nezu, I.
    • 雑誌名

      Environmental Fluid Mechanics

      巻: 14 ページ: 527-555

    • DOI

      10.1007/s10652-013-9279-2.

    • 査読あり
  • [学会発表] Hydrodynamic relation between sedimentation and large-scale horizontal gyres in side-cavity zone2013

    • 著者名/発表者名
      Michio Sanjou
    • 学会等名
      ISRS2013
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      20130802-20130805

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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