河川の自浄作用と自濁作用の定量評価において,大気からの酸素供給量の予測は極めて重要である.一方で自然水域は複雑な諸条件をもつため,酸素輸送速度の実用的な評価法は十分に確立されていない.特に風や重力に誘起される水面波は,水面近傍の乱流生成を促進するためガス輸送に大きな影響を与えるが,その物理機構においては不明な部分が多く実務への応用は停滞している.本研究は学術と実務の乖離を可能な限り埋めるべく,水面変動を考慮した新しいガス交換モデルを構築し,河川を模した粗度実験水路における乱流計測と野外計測を行ってその信頼性を鋭意検証した.その結果,普遍性の高いモデルであることを証明できた.
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