研究課題
本研究では，高解像度気候変動予測実験結果を直接用いた将来高潮の力学的予測と，確率台風モデルを用いた将来高潮の確率的予測を連携させ，日本沿岸における気候変動による将来高潮リスクの変化を定量的に予測した．メソ気象モデルRCMによって力学的ダウンスケールした詳細気象場（海面更正気圧および海上風）を入力条件として，高潮直接計算を実施し，高潮の将来変化を予測した．高潮の計算結果に対して極値統計解析を行い，再現期間100年の高潮を推算した．さらに，全球気候モデルGCMが潜在的に持つバイアスを，RCMを真値と見なすことで補正し，信頼度の高い台風気象場を作成する方法を開発した．GCMのアンサンブルデータにバイアス補正を適用し，海面水温条件の異なる高潮予測を行い，将来変化の不確実性を示した．確率台風モデルについては，台風の進行に伴う時間変化量算定部について，その時点での台風特性と次時刻における台風特性の変化量の関係に対して，クラスター分析等を適用し，台風特性値に対して，より一致度の高い結合確率密度関数を推定して当てはめられるように，モデルを改良した．GCMデータのアンサンブル解析から推定した気候変動による台風特性の将来変化をパラメータ化し，実装することで，将来気候下における台風資料を作成した．対象とする湾でのワーストケースとなる台風条件を把握し，可能最大高潮の大きさを推算するために，パラメトリック台風モデルを用いたパラメータスタディを行った．海面抵抗係数や台風コース，湾の形状に対する進入角度等を細かく変えた．将来，台風強度が強まることが予想されているが，コースによる影響と気候変動による影響のいずれのインパクトが大きいかについて，定量的に評価した．また，過去約80年の台風観測資料から「過去に発生したかもしれない」高潮災害に注目して，東京湾における高潮ハザードポテンシャルの定性的評価を行った．
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件)
土木学会論文集B2（海岸工学）
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