研究課題/領域番号 |
25420523
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
野原 大督 京都大学, 防災研究所, 助教 (00452326)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アンサンブル予測情報 / 予測情報の模擬発生 / モンテカルロシミュレーション / ダム利水操作 / 予測情報の利用性分析 |
研究概要 |
アンサンブル水文予測情報の長期貯水池操作への利用性分析を行うオフラインシステムを開発し、アンサンブル水文予測情報ジェネレータと予測情報の利用性分析シミュレーション機構の開発に取り組んだ。降水量の代わりに間欠性が少なく確率的な模擬発生が容易な河川流量を対象として予測流入量の模擬ジェネレータを開発し、流量の真値を対象流域の水文統計データから1次自己回帰モデルによって模擬発生させる機構と、各予測メンバの予測誤差を真値の周りに模擬発生させる機構とで構成した。さらに、予測メンバ数やスプレッド、スキル、予測更新時の予測の変化率などを変更しながら疑似乱数を用いて確率的に模擬発生させる機構の開発に取り組んだ。また、上記のジェネレータによって大量に模擬発生させたアンサンブル流量予測情報を用いて、予測情報を考慮した長期貯水池操作のモンテカルロシミュレーションを実施して予測情報の利用性を網羅的に分析する機構を構築した。操作目的には利水操作と発電操作を取り上げ、ダム操作の最適化手法には決定論的動的計画法、確率動的計画法、サンプリング確率動的計画法などを考えた上で、これらの最適化モデルによって渇水被害の最小化および発電量の最大化を目的とした最適化計算を行うよう設計を行った。さらに、利用性分析結果に基づいた予測情報の利用手順の構築を目的としたダム操作規準の設計に取り組んだ。予測状況、予測精度に関する各指標、流況、貯水池の状態の条件を変えながら、渇水リスクを最小にしつつ期待発電量ができる限り大きくなるよう、各ケースにおける最適放流戦略の検討を行った。また、現業アンサンブル水文予測情報を利用する上で課題となる、異なる予測リードタイムを持った複数のアンサンブル水文予測情報を統合してダム利水操作に反映させる手順やその効果についての基礎的検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アンサンブル水文予測情報の模擬発生機構、モンテカルロシミュレーションを活用したアンサンブル水文予測情報の利用性分析のためのダム利水操作のシミュレーションモデルの構築など、平成25年度に計画していた主な作業は完了しており、その他の作業についても既に着手していることから、研究は概ね順調に進捗していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度以降の研究計画を踏まえながら、アンサンブル水文予測情報を活用したダム利水操作計画のためのより汎用的かつ実践的な支援システムを構築するため、関連分野の海外の研究者との議論を行いながら、より効果的に研究を推進する方針である。
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次年度の研究費の使用計画 |
既存計算機にメモリを増設し、アンサンブル予測情報の利用性分析に関するオフライン計算の一部を分散させる計算手順を構築し、新規に購入するアンサンブル予測情報利用性分析システムの費用を減らすことができた。また、国際学会の会場が日本近辺であったことや、運営交付金等の活用により学会参加にかかる費用を減らすことができた。それに伴って次年度の使用額が生じた。 平成26年度に構築するダム操作支援計画システムの性能を一部強化することを検討しているほか、国内外の関連研究者との議論や成果発表をさらに積極的に行い、研究の推進を強化する予定である。
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