研究課題/領域番号 |
25420525
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
山下 隆男 広島大学, 国際協力研究科, 教授 (30111983)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 干潟 / 底質 / 水質 / バロクリニック流動 / 水文流出 / 準3次元海洋モデル / フロック / 流動性底泥層 |
研究概要 |
陸域・河川と結合した沿岸域,特に干潟の水質,底質環境の総合解析モデルを構築し実用化させるために,平成25年度には水文流出モデル(BASIN4.1-HSPF)の導入を完了した. ArcMapにArcHydro Tool V2を導入したシステムで,各種DEMデータ(HydroSHED, 国土地理院の基盤地理情報等)に対して流域描写を可能にした.海洋・干潟モデルは既存のソフトECOMSEDに,フロック形成による底質,底泥特性を導入した干潟流動モデル作成した.これにより球磨川-八代海,筑後川-有明海系で解析できるモデルを構築した.この有明・八代海システムでは,初期条件,外洋境界条件にはJCOPE2の再解析結果を内挿して用い,気象条件はGPV-MSMを使用した.有明・八代海に対しては,450mメッシュで,2000年以降の再解析を実施し,観測結果と比較して総合モデル適用性を検討している.特に,水文モデルのパラメターチューニング,海洋モデルの熱収支,波浪混合特性の導入方法に対してパラメターの有効性とモデルの再現性の検証を実施している. 一方,同様のモデルをインドネシアのジャカルタ湾に適用し,ジャワ海全域の3次元バロクリニック解析と河川からの水文流出を考慮した水質・底質環境影響評価モデルを作成中である.ジャカルタ湾は大規模な埋め立てと大規模堤防築造による締切り計画が進行中で,平成26年度中には,この事業に対する水質・底質環境影響評価を実施する必要があるため,インドネシア関係省庁の研究機関と早急に共同解析を実施している. インドネシア公共事業省が設立した,海岸工学実験センター(バリ州)が,本研究で開発した水質,底質環境の総合解析モデルの導入を要望しているので,熱帯環境下でのモデルの適用性の検討も含めて,モデル・観測検証の共同研究を実施する事で合意した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究は計画通りに進行している. 外洋の影響,陸水の影響を考慮した干潟の水質・底質環境の総合解析モデルを構築するための,プログラムコード,ソフトウエアのインストール,使用方法の理解を実施する事ができた. JCOPE2(1994年以降)とMyOceanからの再解析データ(2013年以降)により1/12度の海洋再解析モデルを外洋条件とする沿岸海洋流動モデルを構築した. 水文解析モデル(BASIN4.1-HSPF)による,雨水流出,底質流出,栄養塩流出のモデル化を可能にした.有明海・八代海系の水文流出解析と沿岸域のバロクリニック流動解析の連携モデルを完成させた. ジャワ海・ジャカルタ湾にも適用できる同様のモデルを構築した.
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今後の研究の推進方策 |
観測データの揃っている有明海・八代海系とジャカルタ湾の水質・底質環境総合解析を実施し実用可能な環境影響評価モデルを構築する予定である. 特に,河川流量以外にも土砂流出,栄養塩流出特性がBASIN4.1-HSPFでどの程度の精度で再現できるのかを,パラメターチューニング,栄養塩の供給源データ(ポイント,ノンポイント)の収集に焦点を絞って研究を進める予定である.対象海域は有明・八代海とジャワ海・ジャカルタ湾である.ジャカルタ湾では大規模開発計画の環境影響評価を実施する.
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次年度の研究費の使用計画 |
2014年2月に予定していた海外調査(インドネシア公共事業省)が先方との予定が合意できず,次年度2014年5月に延期になったため.これは,ジャカルタ湾の大規模締切り堤防の計画が関係省庁で議論されたのが2014年3月になった事に起因する. 2014年5月に海外調査を実施する.
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