本研究では,非常用洪水吐きからのダムの越流を許容する新しい治水の概念に基づき,直列に配置された流水型ダム群の洪水制御能力を強化する手法を開発した.従来の考え方は,直列配置された場合であっても個々のダムで計画高水流量を定め,各ダムが溢れないように洪水処理を行うものである(従来型).本研究により従来型の流水型ダム群と新しい概念に基づき配置された同じスケールの流水型ダム群(越流型)で洪水制御能力を比較した結果,越流型の最下流のダムからの最大放流量は従来型よりも顕著に小さくなることが分かった.なお,上流側のダムの越流を許容する新たな治水方式は,ゲート操作を行う一般的な貯水型ダム群にも適用可能である.
|