平成25年度は津波による防波堤基礎マウンド周辺の流れ場を再現する3次元数値解析モデルを構築して適用性を評価した.水理模型実験を実施し,数値解析で得られた流れ場が実験結果と良好に一致することを明らかにした.また,津波による基礎マウンドの変形予測のため,個別要素法を組み込んだ数値解析モデル(平成25年度は2次元問題を対象)を構築して試計算を実施した.当該年度の成果は,土木学会論文集B3(海洋開発)に発表した. 平成26年度は前年度の試計算を継続して数値計算モデルの適用性を検討した.計算モデルの精度と安定性の問題から,SPH法(粒子法)による解析モデルを再構築して計算精度と安定性の向上を図った.その結果,SPH法は数値計算容量と計算時間が格段に大きくなるが,前年度の解析モデルに比べて精度と安定性で優れることを確認した.また,数値解析で得られた洗掘現象が水理模型実験結果と良好に一致することを明らかにした.当該年度の成果は,土木学会論文集B2(海岸工学),土木学会論文集B3(海洋開発),Procedia Engineering(Elsevier),土木学会西部支部研究発表会(2編)に発表した. 平成27年度は現地防波堤(細島港余島防波堤)を対象に防波堤基礎マウンドの被災について数値計算モデルを用いた検討を行った.その結果,マウンド被覆ブロックの安定性に対してマウンド内の津波浸透流の影響は無視できず,ブロックの安定重量が不足する箇所が生じることを明らかにした.また,地震によるケーソン天端の不等沈下やケーソン目地部の広がりは被覆ブロックの安定性を更に損なう要因になることを確認した.特に,防波堤堤頭部は,マウンド内の津波浸透流と堤頭部を廻り込む津波流が複雑な流場を形成し,被覆ブロックの安定に対して脆弱箇所になる可能性があることを示した.当該年度の成果は,土木学会西部支部研究発表会(2編)に取りまとめて発表した.
|