研究課題/領域番号 |
25420534
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
布施 孝志 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80361525)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 地理情報システム(GIS) / 地形 / 国土保全 / 交通工学・国土計画 / 減災 |
研究概要 |
島国であるわが国の姿を把握するためには、陸上・海底地形を連続的に表現することが重要である。近年の詳細デジタル地形データに対し、全国において、大縮尺での陸上・海底地形のシームレスな表現・利用への要請が高まっている。シームレス化の際には、標高・水深基準の差異の影響が無視できないものとなる。本研究では、標高や水深により表現されている詳細な陸上・海底地形データを、全国規模でシームレス化する手法の開発を目的とする。また、管理上の観点から、標高・水深の基準決定に対する歴史的経緯を整理することも行う。 本年は、陸上・海底地形データの計測・作成・管理方法の現状整理、標高・水深の基準決定経緯の整理、陸上・海底地形接合部の特性分析、データ統合手法の要件整理を行った。まず、公的機関を対象として、現状の陸上・海底地形の計測方法、データ作成方法、データ管理方法、さらに基準港や補正方法などの整理を行った。ここでは、技術的内容のみでなく、法制度も確認した。また、現状に至る、その歴史的経緯の整理も行った。特に、近代測量が開始された明治4年までさかのぼり、担当機関の一次史料にもあたり、それぞれの決定経緯を整理した。水深の決定については、標高の決定に対して複雑なため、験潮所の整備および調和分解法と最低水面の定義に対して調査を行った。さらに、両者の経緯を比較し、共通点・相違点を横断的にまとめた。次に、公的に公開されている地形データのうち、最も詳細なデータを対象とし、基準港に関するデータなども用い、一般的なT.P.への補正方法を陸上・海底地形の接合に適用した。適用結果から、その不連続性に対する傾向を検証した。検証結果から、接合部における要件をまとめた。あわせて、海岸線、低潮線などの定義の確認とともに、その利用可能性も検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通り、標高・水深の基準決定経緯を丹念に調査し、それらを整理することで十分な結果を得ている。これにより、現状の把握をより正確に行うことができるようになった。また、現在公開されている公的データを実際に用いることにより、データ特性に加え、一般的に利用されている手法の検証も十分に行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年の接合実験結果、さらにそれらに基づいた要件に従い、データ統合手法の構築を行っていく。その際には、追加データの利用可能性も考慮するとともに、統合後の統計的検証方法についても検討を行うものとする。また、最先端の計測技術による地形データとの比較を行うことにより、その妥当性を再確認することも予定している。
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