研究課題/領域番号 |
25420536
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研究機関 | 政策研究大学院大学 |
研究代表者 |
日比野 直彦 政策研究大学院大学, 政策研究科, 准教授 (10318206)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 交通計画 / 列車遅延 |
研究実績の概要 |
本研究は、これまで実施してきた列車遅延の発生・拡大に関する研究成果を踏まえて、発生した遅延の回復に関する分析を進め、回復のメカニズムを解明するとともに、遅延の拡大防止および早期回復に向けた具体的な対応策を提案することを目的としている。 本年度は、これまでの研究成果を踏まえ、遅延回復の特性把握およびシミュレーション分析を行った。列車運行実績値を用いて、顕在化した列車遅延が回復に向かう運行状態について、旅客乗降と列車間隔の視点から定量的分析を行った。具体的には、駅特性、列車種別、列車運行間隔等のデータを用い、それらと各駅停車時間との関係を分析した。また、軌道の物理的な制約および先行列車との距離に基づいた速度制約から駅間走行時間を整理し、遅延回復の契機となった列車の運行状態とその特性、その列車が後続列車へ及ぼす影響を、実績データから明らかにした。 次に、遅延回復に焦点を当てたシミュレーションを行った。実績データから明らかにした遅延の回復メカニズムを踏まえ、旅客乗降と列車運行との連動性を考慮し、列車間隔を変化させ、当該列車および後続列車の運行状況が、遅延の回復時間に与える影響を分析した。具体的には、できるだけ駅で長く停車し、先行列車との距離をあけ、走行時間が短くできるような運行を探ることを試みた。ここでのポイントは、列車を間引くことなく、駅での停車時間を変化させ、次の駅への到着時刻を最も早くする点にある。なお、駅での停車時間を長くすれば後続列車への影響があるため、その影響をも考慮し、一連の列車運行を対象とした対応策の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、遅延の発生・波及および回復のメカニズムを明らかにし、遅延の解決方法を提案することにある。現在までに、遅延の発生要因、遅延が波及・連鎖する現象、遅延が相互直通路線へ伝播する現象、発生した遅延が回復する現象について、これらを再現するシミュレーションモデルを構築し、信号方式や運行頻度が異なる路線へ拡張している。 これらの知見を踏まえて、走行時分を短縮するために停車時分を延ばすことや、走行時に閉塞区間内の最高速度まで上げるのではなく、速度をコントロールするといった具体的な遅延対策についてシミュレーション分析を行っている。 研究協力者と頻繁に打合せをし、上述の研究を進めることにより、大きな遅れを発生させることなく研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、本研究を遂行する上で最も大変になるのは、研究協力者との研究打合せである。研究代表者が海外赴任するため、国内で行っていた頻度での打合せは不可能である。e-mail、インターネットでの打合せを行うと共に、一時帰国等し、進捗状況の確認等を行う予定である。 なお、そのための経費は計画的に繰り越しており、研究の遂行には問題ないと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果の発表のタイミングにより、次年度にその論文投稿料、旅費等を繰り越すことになった。また、次年度から研究代表者の海外赴任が決まっていたため、次年度の研究打合せのための旅費等の繰り越しを行った。学会発表、研究打合せのために、計画的に支出を行ったものであり、分析そのものには大きな遅れが生じている訳ではない。
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次年度使用額の使用計画 |
学会発表のための旅費、研究打合せのための旅費、インターネットで打合せをするための設備費、論文投稿料等に使用する計画である。
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