平成25年度に実施したことは以下の通りである. 1)リンク途絶の確率現象の交通ネットワーク均衡モデルへの導入 これまで確率的利用者均衡(SUE)があったが,これはランダム効用理論に基づいた経路選択を用いた交通均衡であり,算出される交通量はその名称に反して確定的である.SUEでは交通量や旅行時間の分布やばらつきを考えることは難しく,本申請者はそれが可能となる確率交通均衡の基礎モデルを既に開発している.この基礎モデルを拡張した.拡張としては,各リンクの途絶・閉鎖を確率的に与えたとともに,交通容量を確率的に変動させた. 2)信頼性の観点を含んだネットワークの連結性向上の総便益の算出法の構築 災害時などでノードが孤立化してトリップをあきらめる(移動ができない)のか,トリップを行うのかの選択を上位の選択とし,トリップを行う(移動する)場合はどの経路を選択するのかを下位の選択とするネスティッド・ロジット・モデルにより,利用者行動をモデル化する.これを用いてログサム(期待最小コスト)による統一的な便益計算法を構築した.日常時等で旅行時間が変動し,事前に旅行時間がわからない場合,遅刻回避のために早めに出発する必要がある.この旅行時間変動のために早めに出発する分の時間損失も考慮した.実務的な利用も視野に入れると,このような旅行時間信頼性の評価法としては旅行時間のパーセンタイル値が適切であり,これを導入した.
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