研究課題/領域番号 |
25420544
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
嶋本 寛 宮崎大学, 工学部, 准教授 (90464304)
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研究分担者 |
宇野 伸宏 京都大学, 経営学研究科, 准教授 (80232883)
中村 俊之 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10419062)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 交通機関選択 / 選択肢集合 / 共分散構造モデル |
研究実績の概要 |
交通手段の選択や選択肢集合に関する研究において,サービスレベルでなく移動時の疲労や経験,認知,満足度など多くの要因が考慮されている.認知に関しては,所要時間などのサービスレベルに関する認知を尋ねた研究事例は多いものの,バス路線網などの空間的な認知を考慮した研究は少ない.しかし,空間的な認知とバス選択の間に関係性が確認されれば,情報提供を工夫することなどによりバス路線網に対する認知を高めることによる効果を正当化することに繋がるといえる. 以上の問題意識のもと,研究2年目にあたる本年度は,通手段利用頻度,バス利用に関する満足度,特定の目的地への移動を想定したバス路線網やサービスレベルに対する認知,選択肢集合ならびに選択する交通機関を尋ねたアンケート調査を設計し,複雑なバス路線網を有する京都市においてアンケート調査を行った.その上で,バス利用に対する満足度,バスに対するサービスレベル,路線網の認知度とバスを選択肢集合に含むか否かとの間の関係性について共分散構造モデルを用いて統計的に分析を行った. その結果,本研究対象地域においては,バスネットワークの認知度が高い人ほどバス利用の満足度が高くなり,さらにバス満足度が高い人ほどバスを選択肢集合に含む傾向にあり,最終的にバスが選択される傾向にあるといえる.したがって,バスを選択肢集合に含まれやすくなり,最終的にバス利用者数を増加させるためには情報提供を工夫することなどによりバス路線網に対する認知を高めることが有効であることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
選択肢集合と交通環境の認知,サービスレベルの評価に関するアンケート調査の設計と実施を完了しており,またアンケート調査データを用いた交通環境の認知,サービスレベルの評価と選択肢集合の形成および交通機関選択の間の関係性に関する統計解析も実施しているため.
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今後の研究の推進方策 |
研究2年目においては,アンケート調査データに対して共分散構造分析を行っており,交通環境の認知,サービスレベルの評価と選択肢集合の形成の間の関係について,定積的な評価にとどまっている.本年度は,非集計分析モデルを適用することにより,両者の関係を定量的に評価する.さらに,研究初年度に構築した選択肢の異質性を考慮した配分モデルと組み合わせることにより,選択肢集合の形成,選択過程において混雑の影響を加味することを試みる.
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次年度使用額が生じた理由 |
2014年度はアンケート調査設計ならびに実施に時間を要したため,定量的な分析を行うまでに至らず,分析のためのコンピュータや統計解析ソフトの購入が必要なかったため.
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次年度使用額の使用計画 |
アンケートデータの定量的な分析のためのコンピュータやソフトウエア,関連書籍の購入を計画している.さらに,研究成果を積極的に発表するための学会参加旅費としても使用する予定である.
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