研究課題/領域番号 |
25420547
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
織田澤 利守 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30374987)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 社会的ネットワーク / 交通ネットワーク / 都市・地域システム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,社会的ネットワーク及び交通ネットワークを通じた社会的相互作用の空間波及メカニズムを解明し,都市・地域システムとの関係について理論的に明らかにすることである.平成26年度は,昨年度構築した分析枠組みを発展させ,社会的ネットワーク形成の内生化(サブテーマC),及び立地選択の内生化(サブテーマB+C)を行った.得られた研究成果を以下に示す. 1)社会的ネットワーク形成の内生化(サブテーマC) 主体が社会的ネットワークのリンク形成とリンクでつながる相手との対面交流水準を同時に決定する状況をモデル化し,空間内においてアクセシビリティの高い主体ほどより高密度の社会的ネットワークを形成し,より活発に交流活動を行うことを示した.また,交通ネットワークの位相幾何学的構造が社会全体の交流活動水準や厚生に及ぼす影響を明らかにした. 2)社会的ネットワーク形成及び立地選択の内生化(サブテーマB+C) 1)の設定に加え,主体が立地選択を行う状況をモデル化した.立地費用の水準に応じた立地均衡パターンを明らかにした.さらに,交通費用及び社会的ネットワークのリンク形成費用の低下が中心地への集積度を減少させ,都市内立地分布を分散化することを示した.また,その際の社会厚生への影響についても分析を行ない,数値計算を用いて,交通費用の低下が却って社会厚生の悪化をもたらす可能性を示した. 上記の成果については,国内学会及び国際学会で発表を行った.また,2)の成果については,査読付き学術論文集に投稿済みである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H26年度は,社会的ネットワーク及び交通ネットワークと都市・地域の空間構造(サブテーマB)と交通ネットワークの位相幾何学的構造と社会的ネットワーク形成(サブテーマC)について分析を行い,上述の結果を得ていることからおおむね順調に進展していると言える.なお,サブテーマBの立地均衡モデルの構築・解析の一部については,既にH25年度に先行して実施している.本年度は,立地選択と社会的ネットワーク形成を同時に考慮した2地域統合モデルの構築・分析を行い,上述の通りその成果を国内査読付き学術論文集に投稿済みである.
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今後の研究の推進方策 |
当初計画通り,サブテーマB,Cについて政策的な観点から分析を進めていく予定である.これまでに構築した分析枠組みを用いて,社会的外部性,立地外部性をそれぞれ内部化する政策及びこれらの混合政策の政策シナリオに対する分析・考察を実施する.また,社会的に望ましい交通ネットワーク整備のあり方,次善政策としての交通リンクへの課税・補助金政策,容積率規制,都市成長境界制度の効果に関する分析・考察を行い,これまでの結論と併せて得られた学術的知見及び政策的含意を整理し,研究の総括を実施する.
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定だった物品(図書)の納期が年度内に間に合わないため,購入を次年度に持ち越した.
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次年度使用額の使用計画 |
購入予定の物品(図書)の代金に充てる.
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