現在、過疎地や離島地域の過疎高齢化は深刻な問題となっている。本研究では、交通計画の分野であまり取り上げてこなかった「医療」を考慮しながら、住民の「生活圏確保・拡充の可能性」を検討するものである。検討に際し、まず「買い物」と「通院」を中心に「時間領域における需要」について、交通サービスを条件とした日常生活の行動の変化を捉えることを目標とした。自島内で買い物、通院が十分である場合の交通サービスを条件とした日常生活の行動の変化についてはある程度の定量化はできており、さらに自島内での買い物、通院の目的が不十分な場合、島外への同目的の行動をおこなうことになるが、そのことの定量化も行った。そのための調査を五島列島で行った。買物、通院を中心に自島内、自島外島外への交通行動を調査した。交通サービス条件によっては、「買い物」、「通院」以外の目的を含めた行動を考えることができ、生活圏を構成するには、交通サービスの検討のみならず、生活に必要な施設の配置の検討も必要であることが示された。
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