研究実績の概要 |
2009,2010年の国民健康・栄養調査の都市構造を表す変数,個人・世帯属性を表す変数による回帰分析から,歩数に影響を与えている変数を明らかにした.都道府県ごとに最大5つの市郡にわけられ,全国を計122の地域に分類されており,それぞれの人口密度データを収集した.加法モデルによる検討も行い,関数の特定を行い,AICやBICが最小になるモデルを推定した結果,人口密度について,ピークありのモデルで2乗の項が有意になった.歩数が最大となる可住地人口密度は11,800[人/km2]と推定された(東京23区と大阪区部の中間).しかし,単純に人口密度の対数を用いるピークなしモデルの方がAIC/BICが小さくなった.年齢では,50歳を超えてから放物線的に歩数が減少していくと推定された.その他,毎日朝食をとる人,また飲酒をする人ほど,朝食を毎日食べる人ほど歩数が多いことなどを明らかにした. 残された課題は以下の通りである.人口密度を正確に把握すべき.決定係数の向上.歩数計を用いて研究する場合,無作為に選択された3日間の歩数調査を行う必要があるとの先行研究がある. また曜日別に歩数を比較すると,土曜日における歩数は,火曜日,金曜日と比べると有意に少ないことを報告している.本研究は土日については対象としていない.国民健康・栄養調査では,歩数計を終日装着していない者が約8%含まれているとの報告がある.よって今回の歩数は過小評価になっている可能性がある. その他,海外文献のレビューも継続して行っている.
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