都市構造,歩行(身体活動)および健康のうち複数の関連について分析を行っている国内における先行研究をレビューした.26本の研究が抽出され,うち4本は,都市構造と歩数(身体活動量)を扱ったものであった.歩数(身体活動量)と健康の関係を扱ったものは5本であった.残り17本が都市構造と健康を扱ったものであった.公共交通機関の駅(バス停)密度が歩数に影響を及ぼしている可能性が示されている.また平均気温や所得に加えて,眠気や睡眠不足などの生活習慣が歩数に影響を及ぼす可能性がある.その他,周囲に散歩を促すような施設(公園や河川などの安全性が確保されたオープンスペース)があると歩数が増加する可能性も示されていることを明らかにした. そして,これまで行ってきた都市構造と歩数の分析を Journal of Transportation Planning and Technology に投稿し,採択された.人口密度と屋内外での歩数の関係を明示できたことは重要であると考えている.特に人口密度が1%増加すると歩数は約0.04%増加すること,そして人口密度が11000人/km2あたりにピークがあり,それ以上高くなっても目的地までの距離が近くなるとともに公共交通の利便性が高まると考えられることから歩数が増加しないことを示したことは注目に値すると考える. 一方で,omitted variable bias などの可能性もあり,また介入効果の分析を行うために,今後パネル分析を行っていくことが重要であると考える.
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