研究課題/領域番号 |
25420555
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
松下 文経 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (80361319)
|
研究分担者 |
福島 武彦 筑波大学, 生命環境系, 教授 (90124354)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 固有光学特性 / 吸収係数 / 消散係数 / 大気補正法 / 不浸透面面積率 / 農地率 |
研究概要 |
衛星画像を利用するために、日本の湖沼に適用できる大気補正法を確立する必要がある。先行研究により開発された4つの大気補正法を霞ヶ浦から採集してきた現地の分光反射率で検証し、既存手法の特徴および欠点を明らかにした。これらの結果は、次の新しい大気補正法の開発に役立つヒントを示した。 衛星画像から湖沼の基礎生産量を推定するために、まず、衛星画像から湖水の固有光学特性(すなわち、水塊の吸収係数と後方散乱係数)、特に植物プランクトンの吸収係数、を推定する必要がある。このため、我々の先行研究ではQAA_Turbid (quasi-analytical algorithm for turbid inland waters)というアルゴリズムを開発した。本年度は、QAA_Turbidに基づいて、湖水の消散係数を衛星画像から推定する手法を開発した。波長443nm、556 nm、669 nmでの推定精度を合わせて、RMSEは0.17m-1, 相対誤差は12.96%であった。 また、湖沼は流域の最終的な受け皿であるため、湖沼の研究に流域環境の解析は不可欠である。流域環境の変化を表す指標としては、流域内の不浸透面面積率(Impervious Surface Area:ISA)と農地率が有効と考えられる。本年度は、このISA率と農地率を衛星画像から同時に推定できる新しい手法(Sorted Temporal Mixture Analysis with Post-classification:STMAP)を開発した。手法の開発には3種類の衛星画像(植生指数、地表面温度、夜光データ)を使用した。Landsat画像から推定したISA率、及びGoogle Mapから算出した農地率を用いてSTMAP法の精度を検証した結果、RMSEはISA率で0.063、農地率で0.098と低く、精度が高いことが立証された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度、霞ヶ浦5回、富士五湖(河口湖、本栖湖、精進湖)1回の調査を行った。現地から湖水の分光反射特性データ、湖水の鉛直分布データ、消散係数データ、および水サンプルを採集した。実験室では、クロロフィルa濃度、懸濁物濃度、各成分の吸収係数を測定した。一部のデータと先行研究で収集したデータを合わせて、2つの新手法を開発し、3本の国際論文をまとめ、6つの学会発表を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、霞ヶ浦など日本の湖沼において、現地調査を行い、データの蓄積を行う。次に、前年度で開発した手法の検証および改良を行う。そして、日本の湖沼に適用できる大気補正法の確立と湖沼の基礎生産量を推定するためのもう1つ重要なパラメータ真光層の推定手法の確立を行う。最後に、これらの結果をまとめ、成果の公表を目指す。
|
次年度の研究費の使用計画 |
論文掲載料が2014年3月末までに大学に請求がこなかったため。 論文掲載料として本年度(H26年度)に支払う予定。
|