研究課題/領域番号 |
25420566
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
小室 雅人 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10270183)
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研究分担者 |
岸 徳光 釧路工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (30153076)
栗橋 祐介 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (30414189)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 建築構造 / 偶発作用 / 部材損傷評価 |
研究実績の概要 |
本研究の最終目的は,車両衝突やガス爆発等の偶発作用による構造物の進行性崩壊を防ぐために,強靭性を有する構造物の設計法を確立することである。すなわち,偶発作用の一つである突発衝撃荷重作用時における構造物の動的挙動特性や部材損傷レベルを実験的・数値解析的側面から把握し,強靭性やリダンダンシーをもつ安全・安心な構造物の設計法の確立に向けた検討を行うものである。 本研究目的を達成するために,本年度は純スパン長の異なる鋼(S)梁(純スパン長:1, 2, 3, 4m)を対象に,静載荷実験および衝撃荷重載荷実験を実施した。梁材の形状寸法はH194×150×6×9のH形鋼である。衝撃載荷実験は,質量300kgあるいは500kgの鋼製重錘を用いて,目標入力エネルギーに対応した高さより,重錘を梁材のスパン中央に自由落下させることにより行った。衝撃載荷実験では,入力エネルギーを漸増させる繰り返し衝撃載荷と所定の入力エネルギーで一度だけ載荷する単一載荷の2種類を実施した。また,重錘質量を変化させることによって,入力エネルギー等価や力積等価に関する実験も実施した。なお,重錘衝突点近傍には緩衝材として天然ゴム(150×150×50mm)を設置した。また,静載荷実験は,重錘衝撃実験と同一条件となるように,梁材中央部に緩衝ゴムを設置し,その上面に油圧ジャッキを用いて鉛直荷重を作用させた。 その結果,(1)静載荷実験および衝撃荷重載荷実験ともに,載荷点近傍のフランジに発生する局部変形で終局に至ること,(2)入力エネルギーと最大載荷点変位にはほぼ線形の関係が成立すること,(3)同一力積を載荷した場合には,重錘質量の大きさによって最大応答変位が異なること,(4)有限要素解析結果より,鋼材や天然ゴムの材料物性値を適切に解析モデルに反映させることによって,弾性から弾塑性応答に至るまでの重錘衝撃力や載荷点変位をほぼ適切に再現可能であること,等を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
衝撃荷重を受ける鋼(S)梁の実験的検討に関しては,当初の予定通り順調に親展している。また,より精緻な解析手法である三次元弾塑性有限要素解析による検討も順調に進展している。一方,S梁を対象とした簡易解析手法(ファイバー要素を用いた解析手法)の適用性については,現在検討中であり,平成27年度も引き続き検討を行う必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度以降は,鋼(S)梁に対する簡易解析手法の妥当性を検討する。併せて,他構造形式についての適用性に関して検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費として,H25年度にファイバー要素解析に用いる汎用プログラムを計上していたが,当初の配分金額が不足していたため,昨年度は1年間の学生用アカデミック版を使用して対応した。 今年度も学生版アカデミック版を使用することを念頭に,物品費の差額をH形鋼梁の試験体数を増やすことで使用する予定であったが,今年度はその制度(学生用アカデミック版)が突如廃止され,あらたに正規版を購入する必要が生じた。このことにより,当初予定していたH形鋼梁試験体数の購入費が不足することとなり,他の予算での対応も含めて支出を行った結果,差額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度の使用額に関しては,国際会議への参加旅費,および数値解析補助の謝金として使用する予定である。
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