研究課題/領域番号 |
25420571
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
鈴木 比呂子 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (60401527)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 杭 / 鉛直荷重 / 水平荷重 / 支持力 / 引抜き抵抗力 |
研究概要 |
杭に作用する鉛直荷重の特性を明らかにするため、遠心載荷装置を用いた杭の鉛直載荷試験を実施した。実験では、直杭、および先端に羽根のある羽根付杭の模型に対し、押込み試験、引抜き試験、鉛直交番載荷試験を行い、実験結果より次のことを明らかにした。 1) 押込み試験、および引抜き試験において、杭の表面に作用する周面摩擦力は、杭径が大きいほど、極限となる変位が大きくなる。一方、鉛直交番載荷試験では、周面摩擦力は、杭径の大小にかかわらず同程度の変位で極限値に達する。 2) 引抜き試験において、杭の周面摩擦力は、直杭より、羽根付杭で小さくなる。これは、羽根付杭では、羽根部により杭周辺地盤が持ち上げられることで、杭周辺地盤のせん断変形が小さくなるためと考えられる。この傾向は羽根径が大きい杭ほど顕著である。 3) 鉛直交番載荷試験において、周面摩擦力が極限に達するまでの小さな変位では、引抜き荷重に対して主に周面摩擦力が抵抗する。そのため、杭径が大きく羽根径比の小さい杭ほど引抜き抵抗力が大きくなる。 4) 鉛直交番載荷試験において、周面摩擦力が極限値に達した後は、引抜き荷重に対して主に羽根部で抵抗する。変位振幅の増大に伴い、羽根径比の小さな杭では引抜き時における羽根応力の低下が著しく、羽根面積の大きな杭ほど羽根応力が大きくなる。そのため、羽根径比および羽根面積の大きな杭ほど羽根部抵抗力の低下が少なく、引抜き抵抗力の低減は緩やかである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、遠心載荷装置を用いた杭の押込み試験、引抜き試験、鉛直交番載荷試験を計画しており、予定した実験は概ね完了することができた。
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今後の研究の推進方策 |
鉛直載荷試験より得られた杭の支持力、引抜き抵抗力について、これらに影響を及ぼす要因を十分に分析するとともに、モデル化について検討を行っている。今度は、羽根部抵抗力、周面摩擦力のモデル化の検討をさらに推進するとともに、繰返しの水平・鉛直荷重をうける杭ー構造物系モデルの実験の詳細計画を建て、実験の実施に向けた準備を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
年度の終わりに英語論文の校正費として予算を残しておいたが、当初の見積より多少変更があったため、1000円程度の次年度繰り越し金が生じた。 小額であるため、繰り越し分を単独で使用する予定はなく、次年度の予算と合わせることで有効に利用する。
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