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平成27年度に解析が完了しなかった実験データを詳細に解析し、開孔上下２段梁配筋量、開孔際の縦補強筋量とその位置、斜め補強筋量を決定していく手順に従えば、意図するせん断性状が得られることを確認した。また、これも平成27年度に解析が完了しなかった開孔周囲せん断耐力に及ぼすせん断スパン比の影響に関する実験データを詳細に解析し、力学モデル上の力のつり合い条件が同じであれば、せん断スパンの大きさに関係なく同じせん断耐力が得られることを確認した。
さらに、これまでに様々なアイデアで提案されている開孔周囲せん断補強工法についても、特に開孔上下２段梁のせん断力伝達メカニズムが十分に形成されるかどうかを判断すれば、本研究成果としての力学モデルと破壊条件に基づく終局せん断耐力算定式と計算手順が適用可能であることを確認した。本研究で明らかにした開孔上下2段梁の肋筋、開孔際縦補強筋、斜め補強筋の役割とせん断力伝達メカニズムは、基本的な知見を与えるものであり、様々なアイデアで提案されている開孔周囲せん断補強工法による開孔周囲せん断耐力も、統一した考え方で説明できることが分かった。
せん断スパン比が開孔周囲せん断耐力に及ぼす影響については、これまでの論文発表に引き続き、平成28年度日本建築学会大会にて論文発表を行い、国内へ情報発信した。また、平成25年度から平成28年度までの研究成果をまとめて、第16回世界地震工学会議にて論文発表を行った。開孔周囲のせん断終局耐力を設計式として定めていない国も多いが、開孔周囲のせん断力伝達メカニズムに基づけば、計算耐力と実験結果が良く一致して合理的な設計ができるという本研究成果を、世界に情報発信することができた。
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