研究課題/領域番号 |
25420575
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
中澤 祥二 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70314094)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 空間構造 / 耐震性能評価 / 地震リスク解析 / 限界変形 / 機能維持 |
研究概要 |
空間構造は比較的広い無柱空間を有する構造物であり,スポーツアリーナ,学校体育館,工場などの産業施設に利用されている。学校体育館では震災後に避難施設として利用できること,工場では製品の製造が持続できることが求められる。近年の地震被害より,主構造体の耐荷重性能を評価することは重要であるが,それに加えて,非構造材の損傷やそれに伴う機能損失を考慮することが重要である。そこで,本研究では,① 空間構造を構成する主構造材の限界変形に注目した新たな耐震性能評価法を示すとともに,② 空間構造を構成する非構造材(天井材を含む)の耐震性能評価法を示し,③ 空間構造の地震後の機能維持性能を含む総合的な耐震性能評価方法を提案することを目的としている。 平成25年度は,(1) 小中学校の体育館やスパン100m程度の既存体育館の設計事例を収集するとともに,空間構造の被害事例の調査を行い地震リスク解析の方針策定のための資料を収集することができた。また,(2) 弾塑性応答解析を用いた地震損傷度曲線を効率よく計算するためのグリッド並列計算システムを導入することができた。(3) 学校体育館で多く用いられる斜交網目体育館やスパン100mの球形ドームに対して地震応答性状の分析を行うとともに,(4) これらの体育館を構成する主構造材の限界変形に注目した耐震性能評価を行うことができた。(5)これらの成果の一部は学術論文誌で公表しており,国際会議等で口頭発表も行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は,主に,(1) 小中学校の体育館やスパン100m程度の既存体育館の設計事例,空間構造の被害事例を収集し,地震リスク解析の方針策定のための資料を収集することができた。また,(2) 弾塑性応答解析を用いた地震損傷度曲線を効率よく計算するためのグリッド並列計算システムの導入,(3) 導入したシステムを用いた空間構造の耐震性能評価を行うことができた。(4) これらの成果の一部は学術論文誌で公表しており,国際会議等で口頭発表も行っている。以上を総合的に評価し,概ね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画にしたがい,26年度以降は,(1) 空間構造の機能維持性能を評価するためのフォールトツリーの策定を行い,機能維持確率の算定方法を示す。算定に当たっては,(a) 各構造要素の損傷度と損傷度に応じた修復コストの関係,(b) 構造要素の損傷度と構造物の機能損失の関係(例えば,主構造体が無被害であっても屋根面仕上材や屋根吊ものが落下した場合,避難施設としての機能が損失するなど),(c) 構造物の機能が損失した場合の損失コストなどを設定する必要がある。 さらに,機能維持性能評価の実施として,(a) 小中学校体育館,スパン100m程度の下部構造を有するラチスドームについて機能維持性能評価を行い,現状の中小規模体育館の機能維持性能を分析し,本手法の有用性を示す。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究で利用する並列計算機の購入代金,人件費,謝金に関して当初予算との相違がある。当初は資料等の整理,計算機の管理運営に人件費を予定していたが,比較的容易な作業であったために,研究代表者がこれらの作業の一部を行うことができたために,当初経費を節約することができたからである。 物品費に関しては大量の解析データを蓄積するためのデータ保存システムやデータのバックアップシステムを購入する予定である。旅費に関しては研究成果を発表するための国内,海外旅費に利用する予定である。人件費・謝金に関しては研究データの整理,研究成果の公開を行うホームページの作成,計算機管理に関する謝金を考えている。
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