研究概要 |
鉄筋コンクリート造建物を対象にして大地震時に大変形を経験しても,構造体の損傷を軽微に留め,残留変形角を抑制する技術の研究を行っている。 梁については、梁の上端筋に高強度鉄筋を配筋することにより残留変形抑制機構を部材内部に内蔵させるRC梁で,降伏後の二次剛性を低下させた場合の,残留変形の抑制状況を準静的加力実験により明らかにした。スラブの有無の影響と,0.28/100rad.から降伏してエネルギー吸収を発揮させる減衰筋の効果,残留変形と残留ひび割れ幅の抑制効果,およびエネルギー吸収性能を明らかにした。 柱については、1階の柱で,高軸力になり曲げ圧縮域で圧縮破壊が生じて復元性が劣化する柱と,低軸力で復元性が劣る柱を対象にして,柱脚の曲げ圧縮域に圧縮にだけ抵抗する圧縮抵抗筋を配筋して,柱の復元性を改善できることを明らかにした。また低軸力の柱では,柱脚の柱断面の中央に引張にだけ抵抗するアンボンドのPC棒綱を配筋し,柱の復元性を極めて大きく改善できることを明らかにした。 これらの柱と梁の履歴特性を有する多層RC造建物の時刻歴応答解析を行い、解析的に残留変形の抑制状況を明らかにした。5階建てから15建ての建物では、降伏後の二次剛性比10%程度に設定すると、残留変形角を1/400rad.以下に抑制でき、20%程度に設定すると1/800rad.以下に抑制でき、また二次剛性を与えることにより最大層間変形角も抑制されることなどを明らかにした。
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