平成27年度の年度末に研究成果を査読論文に投稿したが査読結果が年度内に間に合わず、予定していた論文投稿料を使用する為に平成28年度まで補助事業期間を1年度延長した。この為、平成28年度は順調に論文が採用されれば研究を終える予定であった。しかし、投稿論文が不採用となった為、論文の修正を行い日本建築学会の学会誌に再度論文を投稿中である。
また、当初の研究実施計画には無いものであるが、本年度は解析手法の妥当性を検証するために浮屋根式石油タンクの模型振動実験を行った。模型タンクは直径30cmの円筒形のアクリル製容器を用い、浮屋根はポンツーンを厚さ1.5mmのアクリル板、デッキを厚さ0.04mmのポリプロピレンシートにより作成した。容器を振動台により揺らし、ポンツーンのアクリル板に発生する曲げモーメントを歪ゲージにより計測した。 申請者が開発し本研究で使用しているスロッシング解析プログラムの数値解析と模型実験の結果を比較したところ、数値解析はやや大きな応答結果(1.4倍程度)となる傾向があることが分かった。しかし、全体的に見れば数値解析結果は実験結果とよく対応しており、昨年度までに行った数値解析の妥当性について確認することができた。 また消防法告知で示された強度評価式と実験により計測された曲げモーメントの値を比較したところ、強度評価式で評価される曲げモーメントの値は実験に比べて1/4程度と小さい結果となった。これは昨年度までの数値解析によっても明らかにしていることであり、強度評価式は過小評価となり危険であることが、実験によっても確認された。
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