研究課題/領域番号 |
25420591
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
小山 明男 明治大学, 理工学部, 教授 (90285099)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | リサイクル / 塩化ビニル / 床材 / 防水材 / 壁紙 / 劣化 |
研究実績の概要 |
平成26年度は,主に壁紙,床材および防水材廃材から得られる再生塩化ビニル粉体をヴァージン材と組み合わせて,再生塩化ビニルシートを作製して実験を行った。特に塩化ビニル廃材の中でも防水材については,廃材種類を実暴露により経年劣化したものを原料に用いて品質確認の実験を行った。なお,経年劣化した製品は,某防水材メーカの協力を得て,0~11年暴露経過したものを入手した。 再生塩化ビニルシートの品質確認試験としては,加熱試験および耐候性試験によって促進劣化を行った上で,引張り強さおよび伸び率,長さ変化,質量変化等について測定を行った。その結果,加熱試験の影響については,廃材種類によらず加熱温度が高くなるほど引張り強さは増加し,伸び率は低下した。加熱劣化における引張り強さおよび伸び率は,加熱温度と促進期間の積に比例的な傾向を示した。また,これらの品質について廃材種類が及ぼす影響が認められ,床材よりも壁紙を廃材としたもので,廃材混入の影響が大きく,リサイクル率が高くなるにつれ,品質は低下した。 経年劣化廃材を用いた再生塩化ビニルシートの品質については,廃材の経年数が引張り強さに及ぼす影響は大きくないが,伸び率については,経年数の大きい廃材ほど低下する傾向を示した。なお,経年劣化品の品質予測のため,画像解析によって推定する方法について検討を行った。その結果,経年した防水材の表面の劣化の程度によって,引張り性能を予測できる可能性を示すことができた。 製品化を目標に,ヴァージン層を積層化した場合について検討を行った。積層方法としてシート厚み,加圧力および加圧温度を変動させて,得られるシートの品質の確認を行った。ただし,上記の廃材種類を変動因子とした試験を優先的に実験したため,基礎物性については概ね試験を行ったが,耐候性試験は継続中であり,耐久性に関わる検討は次年度以降に行うこととした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
再生塩化ビニル廃材については,防水材メーカの協力により経年品を入手でき,再生粉体についても中間処理業者等の協力で入手できている。これらを組み合わせた実験も順調に進んでいる。ただし,製品化をにらんだ適正な積層方法については,未知の部分がまだ有ること,ならびに促進耐候性や暴露など試験時間が掛かるものも残されている。これらについても次年度に実施が可能であり大きな問題はないといえる。
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今後の研究の推進方策 |
廃材の種類が再生塩化ビニルシートの品質に及ぼす影響の把握をするため,基礎物性および耐久性に関してデータが順調に得られてきている。今後は,経年劣化した廃材も含めて,再生塩ビ粉体とヴァージン材との配合方法等の工夫によって品質を確保し,製品として十分な性能が確保できる水準を明らかにしていく。ただし,積層方法については若干の課題があることから,実際の製造メーカ等に助言を求めて適正な方法を提案できるよう努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度は暴露された経年品の入手が困難だった場合に,模擬的に経年させたシートを,実験的に製造する費用や入手する業者に依頼料を支払う予定であったが,防水材メーカの協力で入手できたため費用が発生しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
廃材種類が当初予定よりも増加したため耐候性試験関係の消耗品ならびに経年劣化の画像処理関係の消耗品が必要となるため,物品費として予算処理する予定である。
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