本研究の目的は、高周波静電容量センサーの接触端子(電極)の距離等による測定範囲の可変性を実験的に検討し、複数の端子間距離で測定した測定値と欠陥の位置および大きさとの関係式を導いて欠陥を定量的に特定する基礎を確立することであった。高周波電流を印加する端子の距離は15mmから65mmまで10mm間隔とし、また端子の長さを25mmから100mmまで25mm間隔で変化させた高周波静電容量センサーを試作し、センサーの特性、コンクリート中の欠陥の位置および大きさの違いによる測定値への影響を実験的に把握した。 1.欠陥が無い状態の試験体の大きさを変化させることにより、高周波静電容量センサーの平面的な方向および奥行き方向への測定範囲と感度に関する実験を行った。実験の結果、端子間の距離が大きくなるのに比例して奥行き方向の測定可能範囲が大きくなること、端子の長さを変えた場合には、端子が接触する面積が大きいほど測定可能範囲が大きくなることが分かった。 2.模擬的な空洞の大きさを試験体中で変化させることにより、空洞に対する高周波静電容量センサーの測定範囲と感度を確認する実験を行った。実験の結果、端子間の距離が大きくなるのに比例して電極間の距離を変えた方向に空洞の測定可能範囲が大きくなること、奥行き方向に対する測定可能範囲は変わらなかった。電極の長さを変えた場合には、空洞が電極に接触する面積よりも15mm程度大きい測定可能範囲が確認できた。 3.空洞の大きさおよび深さ位置を変化させた実験により、空洞の深さ位置が20mm以下であれば、空洞の深さと測定値の関係式は端子間の距離によって異なること、この関係式は空洞の大きさにも影響を受けることが分かった。これらの結果を整理することで、測定値から空洞の大きさや位置が推定できる可能性が得られた。
|