研究課題/領域番号 |
25420605
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
横尾 昇剛 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40272223)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | Embodied energy / Embodied CO2 / 積み上げ法 / 産業連関表 / インベントリデータ / 国際比較 |
研究概要 |
国内外の既存LCI-データベースについて調査を行い、49件のデータベース(以下DB)の情報を得た。それらのうち約79%が積み上げ法によるものであり、次いで約17%が産業連関分析法によりデータが構成されたものであり、残りがハイブリッド法によるDBであることを確認した。 国内外の代表的な積み上げ型DBと2005年度産業連関表を用いたDBの環境負荷原単位を分析・比較し、建物主要部材および建物単位面積あたりの環境負荷原単位について考察した。 各国の既存文献から建築物のEE、ECに関する分析を行った研究事例を調査したところ、約100編の論文があり、そのうち建物評価ついて境界条件、投入資源量、建物部位の網羅状況など詳細な情報が判断可能なものとして14ヶ国、33のケーススタディ結果が得られた。評価対象部位に関して分類したところ、躯体、外皮、内装、設備の部位全てを評価している詳細評価のケースが2割、建物の主要部位について部分的に評価している準詳細評価のケースが7割、躯体のみ評価している簡易な評価ケースが1割程度であった。同じ構造の住宅であっても、詳細評価での分析結果と準詳細評価での分析結果を比べると、大きいところで6~7倍ほどの違いが生じている。こうしたばらつきの要因が建物の仕様によるものなのか、EE,EC原単位データまたは分析手法の違いによるものかについて、その要因を把握することが今後の課題の一つとしてあげられる。 産業連関表の分析を行い、建築物の建設に関連する主要部材、材料ごとのエネルギー消費量、CO2排出量、資源投入量を価格当り、物量あたりの原単位として整理した。 これらの結果と建物主要部材に関する実地調査を行い、産業連関表による原単位と組み合わせた原単位の構築を行なう準備を整えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既存研究事例調査、海外動向調査については実施し、必要な情報について分析なども行いまとめることが出来た。また産業連関表ベースの原単位についても日本、カナダの産業連関表の分析に基づき、原単位データベース整理を行った。一方主要部材の実地調査については、調査受入側の工場や企業との日程調整、作業容量などの点で、困難な状況であったため今年度は実施することが出来なかった。この主な要因としては、各国の建築物のEE、ECに関する分析手法、データベース、建物評価方法などに関して、予想以上に国ごと、研究者ごとに多様な方法論、分析方法が展開されており、また提示されているEE、ECの値のバラツキも大きく、そうした状況の背景を注意深く把握することが、今後のEE、EC研究の方向性を確かなものにする上で必要不可欠と判断し、海外研究事例の調査に時間を要したことが大きな理由である。
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今後の研究の推進方策 |
国内および海外16ヶ国のEmbodied energy, Embodied CO2に関する研究を推進している研究者とのネットワークを構築することが出来た。こうしたつながりを活用し最新の研究動向、データベース情報を活用する。 主要建築部材料を抽出し、関係した企業との連携を図り、必要なデータの収集に努める。
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