近年、我が国は「人口減少社会」へと移行し、多くの地方都市では既に人口減少傾向が見られる。このような人口減少時代においては、従来の成長管理的な都市計画手法ではなく、既存都市内の再構成手法の構築が求められ、特に環境配慮の視点からは「都市内再自然化」いう視点が重要と考えられる。 そこでまず、対象都市において、科学的視点からの再自然化指針をステークホルダーに伝えるために、各種環境要素(気候、生態、水、地盤)の視点からの「都市環境特性地図」を作成した。次に、「都市環境特性地図」を活用したステークホルダー参加型ワークショップを行い、対象都市の環境配慮型再自然化計画シナリオを作成した。なお、このワークショップでは「都市環境特性地図」を活用することにより、客観情報(科学的情報)と地域の知、生活者の意向を統合することを意図した。 そして、本年度はステークホルダー参加型ワークショップの成果をもとに、人口減少時代における環境配慮型再自然化計画指針をまとめた。具体的には、市街地縁辺部の人口減少地域、高温化地域、土砂災害危険地域等の再自然化を指針として示した。 また、ワークショップの実践を通して、シナリオの作成段階における情報提供手法(都市環境特性地図集含む)のあり方について検討を行い、その手法の提案を行った。 今後は、さらに将来の気候変動による影響を考慮した上で、それに対する適応の観点から、これら再自然化計画の指針を検討する予定である。
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