研究課題/領域番号 |
25420620
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 釧路工業高等専門学校 |
研究代表者 |
桑原 浩平 釧路工業高等専門学校, 建築学科, 准教授 (40374582)
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研究分担者 |
濱田 靖弘 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40280846)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 熱中症 / 体表温 / 体内温 / 人体熱モデル / 暑熱環境 / 心拍数 / WBGT / 過渡応答 |
研究概要 |
申請者らはこれまで発汗による着衣のぬれと着衣の日射反射・透過特性を考慮した人体熱モデルを開発してきた.平成25年度は,人体熱モデルに吸汗速乾素材等の衣服特性を組み込み被験者実験によりその有効性を検証することを目的とした.1)暑熱下の熱ストレス低減を目的として着衣(Tシャツ)の密着度に着目した被験者実験を行い,標準型(体格に適合したサイズ)より高密着型(標準より一サイズ小さいサイズ)が作業時の体表温が低くなった.密着度が増すと着衣濡れ部位の熱抵抗が減少し,体表温低下の主要因と考えられた.密着度の違いによる「着衣の濡れ感」に大きな差はなかった.2)気温27.5℃で相対湿度を35,45,55%とした場合の相対湿度の違いが体表温へ及ぼす影響を検討した結果,体表温への影響はわずかであった.3)体表温の予測値と実測値を比較した結果,定常状態における体表温予測モデルの有効性を確認した.4)定常状態における体内温・心拍数予測モデルを提案した.評価対象者を考慮した許容基準,体内温38℃と体表温34.5℃を導入して,環境の許容域(上限)を予測し,従来指標と比較した.WBGTは体内温38℃との関連は明確ではなく,低湿度を過度に評価している危険性があること,またPHSもWBGTと同様の問題点を有していることが示唆された.5)個人差(心肺能,発汗能)を考慮した許容域の設定が可能であることを具体例で示し,心肺能・発汗能の許容温度への影響を定量的に明らかにし,発汗能の高低で7℃近い許容域の差があることを示した.6)体表温と体内温の過渡応答特性の予測式を提案し,被験者実験結果より過渡応答特性予測式の有効性を確認した.7)暑熱環境における作業者が暑さで安全上限・疲労困憊に至る時間を予測することが可能となり,一般的な夏服(軽装)を着用した場合の体内温が安全上限に達する時間を作業量別に予測した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験による体表温予測モデルの検証ができた.体内温・心拍数予測モデルの提案ができた.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の予定は以下の通りである.1)平成25年度の実験における体表温と等しくなるような相対湿度55%以上の環境で引き続き実験を行い,体表温予測モデルの有効性を検証する.2)既往の研究データを収集し,体内温・心拍数予測モデルの検証を行う.3)市販のWBGT計による実測値とモデルによる予測値を比較し,計器の有効性を検証する.
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度の未使用額の発生は,予定機器類が低額で購入できたことと,校務により研究打ち合わせや情報収集のための旅費の使用が予定より少なかったことによる. 26年度は高湿域の設定が可能な実験設備を持つ釧路高専にて実験できるように,未使用分は自転車エルゴメーターの購入に充てる.
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