研究課題/領域番号 |
25420620
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研究機関 | 釧路工業高等専門学校 |
研究代表者 |
桑原 浩平 釧路工業高等専門学校, 建築学科, 准教授 (40374582)
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研究分担者 |
濱田 靖弘 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40280846)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 熱中症 / 着衣密着度 / 体表温 / 快適性 / グローブ温度 / 3Dプリンター / 対流熱伝達率 |
研究実績の概要 |
平成27年度は以下の2つを検討した.高湿度環境における着衣の密着度の違いによる暑熱ストレス低減効果を評価するため,健康な男子学生5名を対象として恒温恒湿室で自転車エルゴメーターによる被験者実験を120分間行った.衣服(Tシャツ)はL(緩め),R(通常),F(密着),C(高密着)の4種類である.温湿度を27.9℃,65%と27.3℃,80%の2条件とした.65%ではR(通常)のみ,80%では4種類全ての衣服を使用した.結果は以下の通り.1)着衣質量増加量は高湿度下で,より大きい結果となったが,総合的な不快感には大きな差が見られなかった.2)RよりCの方が,体表温が約0.5℃低下した.これは,環境温度に換算すると約1.6℃の減少に相当し,密着による効果が確認された.3)着衣に吸収され残留する汗量および蒸発性能は着衣密着度で有意な差は見られなかった.4)高湿度下でも,衣服の密着度別の着衣濡れ部位の熱抵抗に差が見られた. 次に,屋外で測定可能な熱中症リスクセンサーの開発へ向けて,3Dプリンターを用いて黒色PLA樹脂グローブ温度計を試作し,グローブ表面の状態や厚さが温度に及ぼす影響を検討した.75mmφのPLAグローブ温度計と銅製グローブ温度計を屋内外で比較実測した.屋外では薄いPLAグローブほど,温度が銅製よりも低くなった.PLAグローブの対流熱伝達率を実測したところ,印刷直後の表面が積層状態のときよりも,表面を研磨して滑らかにした後の方が,対流熱伝達率は小さくなった.また,グローブ表面の熱画像を撮影したところ,銅グローブは比較的均一の表面温度分布を示しているのに対し,PLAグローブの表面温度の分布はかなり大きいことが示された.研磨後も同様の分布を示したことから、PLAグローブの特性とも考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
熱中症リスクセンサーの開発へ向けて,まずは3Dプリンターを用いて既存のグローブ温度計と同じ大きさの温度計を製作し,熱特性を比較したところ,異なる熱特性を示した.この原因を解明するために実験に時間を要してしまったことが原因である.
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を延長して今度は様々な形状の温度計を3Dプリンターを用いて製作し,その特性を把握するための実験を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究発表の機会が少なかったためである.
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次年度使用額の使用計画 |
温度計製作に必要な消耗品の購入や,研究成果発表の旅費に充てたい.
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