研究課題/領域番号 |
25420623
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
野中 勝利 筑波大学, 芸術系, 教授 (40302400)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 城址 / 近代化 / 景観 |
研究概要 |
城下町都市にとって、近代化の過程は濠の埋め立ての歴史でもある。その契機は不衛生、交通の妨げなどの理由や、宅地化、道路・鉄道の敷設などに伴う理由である。近代の都市づくりにおいて、こうした取り組みが進む一方、市民サイドからは史跡保存のために埋め立て反対の運度や世論の高まりなどがあった。各地の事例を調査し、特に小田原城址において濠の埋め立て計画の経緯とその背景を明らかにするとともに、自治体や市民などの動きを分析し、議論の構図を明らかにした。さらに小田原城址の近代の土地所有と土地利用の変遷を整理し、濠の埋め立てを含む風致保存の思想の観点からその意味を明らかにした。また城址の公園化の計画と理念、その実態について明らかにした。 城址において天守は象徴的な景観資源である。藩政期の天守が存在している、あるいは戦前に存在していた城址を中心に、その保存や利用に関する調査を進めた。保存の取り組みや利用方法などに違いがみられた。立地や所有、地域住民の意識などの背景や条件をもとに、その実態について分析を進めた。またあわせて近代の天守といえる模擬天守閣の計画も調査した。模擬天守閣は近代都市景観の創出を意図しているが、都市建築として都市社会における利用を想定した意義もあった。実際に建てられた模擬天守閣だけではなく、構想のみに終わった事例も各地で確認できた。保存天守の相対的価値を分析する上で、こうした模擬天守閣の構想について、その意義を考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各地の事例について、実態把握と資料調査に関する現地調査を進めることができた。特に史資料が比較的多く残る事例を把握することができたため、より実態に即した分析ができるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
さらに各地の事例について、実態把握と資料調査を平行して進める。その上で、事例の分析を行うとともに、事例間の相対的比較、価値づけを行い、同時代的意義を分析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた旅費額より少額で済んだため。 現地調査における旅費の一部に充当する。
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